■ 蜜事
◎後輩っぽい男ボイス13










「せんぱ…はげし、あっ…!」

ぐちゅぐちゅと下肢から聞こえてくる卑猥な音に熱を煽られつつも、俺の身体を遠慮の欠片もなく貪り喰らう先輩殿に抗議する。
口ではアンアン喘いでいるのに、頭の中では冷静に第三者目線で見ている自分が奇妙で不可思議で面白い。必死な表情して、女性のように柔らかい訳ではないこの身体を好んで貪る彼が奇妙で不可思議で、面白い。

「っにを、考えてる…」
「ッあ…ん…!」

機嫌を損ねてしまったらしい。強くなかに打ち付けられた。
男という生き物は支配欲が強い、そう言ったのは誰だったか。自分自身『執着』という行動をとったことが無かったから、何故ヒトはそんなグロテスクな感情からくるような行為をするのだろうかと思い、同時にそれが『人間くささ』なのだろうなとただ漠然とも思ったのだが。今、純粋な人間でない彼が(おそらく、自分が上の空である事を感じとったのだろう。なんて漫画的な展開だ。自分が思い描いたと、彼が勘違いしている『相手』に)嫉妬という執着を見せている。可愛らしい感情だ。やっぱ、先輩は見てて飽きない。

「んっ…せんぱ、い。キス、しましょー…よ」

喘ぎ声の中、何とかそう言い切って、向かい合う先輩の首に腕を回す。当の先輩は俺の言葉に少し意地悪な笑みを浮かべて。でも、優しくキスしてくれた。下半身は意地悪なままだけれど。
それから、どちらともなく舌を絡ませ合って酸素を奪い合う。そのせいで今まで冷静だった頭の何処かまでもが靄掛かってきて、理性的な思考が出来なくなるのも時間の問題で。

気付けば何時も、アイスみたいに甘くでろでろに溶かされていたりするのだけれど。




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