■ 無愛想な店員さん
◎コンビニ店員三和櫂と客アイチ






自動ドアが開き、「いらっしゃいませー!」と声がかかる。カウンターレジにはいつもの親切な金髪の青年がいた。目があって、ニコリと笑みを向けてくれた。よくこのコンビニに足を運ぶ為、顔を憶えてくれたのだろう。軽く会釈を返してカウンターを見るが、レジに入っているのは彼だけのようだった。少し気落ちしながら、文房具スペースに向かう。向かいのコーナーでは私服の男性が一人、雑誌を立ち読みしていた。僕はシャープ芯と消しゴムを取って、ついでにと母親に頼まれたグラニュー糖の袋を持ってレジへ向かう。「お願いします」と商品をカウンターの上に置くと、金髪の店員さんは「ちょっと待ってな」と言って奥に引っ込んでしまった。そわそわしながら、彼が消えて行ったスタッフルームの扉を眺めていると、ミルクティー色の髪をした店員さんが出てきた。彼は少し不機嫌な表情を浮かべながら、カウンターに置かれた商品のバーコードを読み取っていく。彼が出てきた事に動揺していた僕は、彼が値段を告げたことに気付かず、彼に怪訝な表情で見られた。慌ててレジのモニターを見て、表示されていた金額をきっちり出した。差し出されたレシートを財布にしまう。しまい終えたのを確認してから、商品を詰めたレジ袋を差し出された。受け取る時にちょんと触れた彼の手にどきりとしながら店を出た。自動ドアが閉まる直前に聞こえた、おそらくスタッフルームから顔を出して言ったのだろう「ありがとーございましたー!」というからかいの色を含んだ声。さっきは、僕がミルクティー色の彼を目当てに少し離れたこのコンビニに来ていることを悟って、レジを替わってくれたのだろう。お節介で親切な金髪の店員さんに盛大な感謝をしながら、僕は上機嫌で家に帰った。





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