■ 太陽と月


目の前の、俯き加減の彼を見詰める。何時もは凛とした表情を崩さない彼は、今。

「達哉」
「俺は、お前を親友以上の目で見れない」
「うん、解ってる」
「それに俺は…俺が好きなのは…」
「うん、知ってる」

そっと彼の頬に両手を添えて、顔を上げさせる。
彼の顔は、今にも泣きそうに瞳を潤ませていた。誰も…あの人だって、こんな彼は知らない。泣きそうな時、必至に涙を堪えながらも、表情が幼くなる彼の姿など。知っていたとしても、彼の家族くらいなものだろう。
共に戦う仲間達に対する優越感に浸りながら、達哉の目元に口付けた。


例え達哉の心があの人のものであるとしても、今この時だけは達哉を独占できる。仮初めの幸福であっても、僕はこの瞬間が一番幸せなのだ。




太陽




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