■ おやすみ
◎10巻辺り
ばたり。ふかふかのベッドに仰向けでダイブ。やはり高級と名の付く物ばかりだからか、身体の沈み具合だとか肌触りだとかが最高。全くもってシオンの奴が羨ましい限りである。
「王様っていいなぁー…」
「じゃあお前がなるか?王様」
ニヤニヤしながらシオンがベッドに腰掛ける。黙れ虐めっ子。ちょっと睨み付けてやってから、ごろりと横向きになる。勿論奴の顔を見なくていい方にだ。ムカつくニヤニヤ笑いと、徹夜続きで疲弊しきってボロボロな奴の顔なんて見てたら、ヤな夢見そうじゃねーか。
「おい、ライナ」
「フツーの王様はお前みたいにあんだけの量を一人でこなしたりしねーよ」
瞼を閉じて、本格的に寝る準備。
…シオンに枕を人質(…いや、枕質?)に取られて仕方なくムリヤリ強制的に仕事手伝わされ、数日間ずぅーーーっと寝れなかった。昼寝マスターと名高きこの俺が。俺は一日最低60時間は寝ないと死ぬんだよ、バカシオン。脳内で悪口を連ねながら黙ってたら、頭に手が触れた。優しく髪をすかれる。
「おやすみ…ライナ」
珍しく労るように言うから。お前も寝るんだよ。言う代わりにその腕を抱き込んで寝てやった。