■ 依存性毒物
◎甘くない










えぬ。えぬ。小さな口で紡がれる僕の名前。幼子みたいに舌足らずなそれは、思いの外雄を本能的にする作用があるようだ。腰の辺りがずくりと重くなった。彼に欲情しているのだ。彼はそんな僕を潤んだ瞳で見上げた。欲に濡れた瞳。どうやら感付かれてしまったらしい。えぬ、ちょうだい。また舌足らずに言われた。どんどん膨張していく欲を我慢しておく理由がなかったから、素直に彼に従っておこう。ズボンの前を寛げて、張り詰めた欲を取り出す。そしてそのままグロテスクなそれを彼に埋め込んだ。きついし。動いても引きつる感覚がする。あんまり気持ち良いとは言えないけど、彼が催促してくるから。その内急に滑りが良くなった。一瞬彼が顔をしかめたから、中が切れたのかもしれない。でもすぐに彼は表情をとろけさせたから、気にしない事にした。荒い息と水音、甘い声。それは僕の熱を更に限界へ近付けていった。彼が一際甘い声を上げて締め付けてきたから、抜く暇もなくどくりと彼の中に注ぎ込んでしまった。ああ、後始末が大変だ。思ったけど、疲れて面倒だったから取り敢えず今はベッドに倒れこんだ。




人間、しかもトレーナーである彼とこんな関係になった切っ掛けはなんだっただろうか。そう昔ではない筈なのに、よく思い出せない。脳が、どうでも良いとでも判断したのだろうか。まぁ、実際馴れ初めはどうでも良いのだけれど。今重要なのは、何故僕らはズルズルとこの異様な関係を続けているのだろうかという事だから。彼と居ると、僕はどんどん彼にのめり込んでしまう。彼を悲しませたくないと思ってしまう。トモダチを人間から解放する。それは彼も例外無く。そうしたらきっと、彼は悲しむだろう。彼は本当にポケモン達を愛しいと感じているようだから。だから僕は人間にほだされてはいけないのに。トモダチを解放する事を、躊躇ってはいけないのに。ああ、本当に彼はなんて事をしてくれたのだろう。







(本当に、困るなぁ…)





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