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アベルトさんのガチっぷりが
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好きだよ。その曇りのない真っ直ぐなところとか、来るもの拒まずに全てを受け入れちまう質だとか。挙げていけばキリがない。学生の時に、精一杯のさり気無さを装って触れた髪は、癖毛だからか硬い髪質だったが、毛先は綺麗だし、微かにシャンプーのいい匂いがした。そういえば風呂上がりは妹と髪を乾かし合っているのだと前に言っていたと思い出し、人見知りのする可愛らしい彼の響友の姿が浮かんだ。その時はとても羨ましくて、それに今ほど気の知れた仲でもなかったから、そう、ただただ羨ましかった。隣に散る赤い髪に触れる。昔と変わらず指ざわりの良い。今でも妹が手入れを欠かしていないのだろう。仲睦まじく、髪を弄り合っている姿が目に浮かぶ。
「まったく……妬けちまうな」
あれから何年も経って、俺達の距離はあの時より随分と近付いたのだが。相変わらず彼の話といえば、その殆どが妹の惚気話であるし、彼の仕事を差し引いても常に一緒。響友とはそういうものなのか、それとも彼らが特別なのか。敵わない。だが、諦めてやるつもりも毛頭無いので、今の所はこの距離でいてやろうと思う。



05/21 09:38 * 0 


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テーマ「人外ファンタジー」
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