あの人には何を言ったって、なにをしたって届きやしない。
「青峰っち、」
気持ちはいつも俺ばかりで、俺のことなんてちっぽけも見てなくて、何かあったらテツ、テツ、テツ。そんなに黒子っちが好きならいっそ黒子っちと付き合ってしまえばいいのに。それならば、いっそそれならば。
夢だけを見る。もしあの大きな手のひらが俺に触れたら、あの目が俺をずっと捕らえていたら、あの唇が俺と触れ合ったなら。それはそれで心臓がもつか解らないのだが、もしも、もしもそうなったなら。
「青峰っち」
「あ?んだよ黄瀬」
ーーーーそれでも今は、彼が俺を一人の人物として意識してくれてるだけで、十分だ。
黄瀬
2012/11/14 08:31
▽向日葵畑で笑う
「きーせ」
ふんわりと、黄金色に輝く髪が揺れる。それは視界一面に埋め尽くされている色と全く同じで、ああ、コイツにはまったくもってこの花が似合うなと心から思い、視界を細める。
俺が名前を呼ぶと黄瀬はゆっくりと顔をこちらへ向け、眩しいほどの笑顔を見せる。そこには偽りも悲しみも苦しみも何もなくて、なんスか、と言う柔らかくも凛とした声だけが二人の空間で静かに響いた。数えきれないほど美しく咲き誇った向日葵が風で揺れる。
お前、向日葵みたいだな。そう言った俺に対して黄瀬は、青峰っちの方が向日葵そっくりっスよと静かに微笑み、天を仰ぎ見た。雲一つない、澄みきった青空だ。
「ねぇ、」
ゆっくりと、大きく深呼吸した彼が澄んだ声で俺の名を呼んだ。
青峰
2012/10/27 06:50
▽君がいてくれたから
負ける悔しさも、
信じる強さも知った
緑間
2012/10/02 00:17
▽時は進むばかりなので
立ち止まってなどいられない
笠松
2012/09/22 17:42
▽いっそ忘れる事ができたなら
こんなにも苦労しなくてすんだのに
黄瀬
2012/09/19 18:59
▽信じてみようかな、なんて
元々他人なんて信じる気もなかった。
自分が一番正しくて自分が一番強いのだと 中学時代、まだ世の中を知らないような幼い頃に、俺らは確信していた。それはただの自信なんかじゃなくて、紛れもない事実であった。他人を信頼して、皆で点数を稼いで一つの喜びが生まれていたのは、たった一年間の出来事で。
まだまだ幼いはずの俺らは、そんなたった一年間で他人を信頼する事を忘れ、自分だけしか信じなくなっていった。
『緑間真太郎クン』
自分だけが全てだと思っていた。自分を信じていればそれで良いと思っていた。
『そのうち思わずうなるようなパスしてやっから 覚えとけよ真ちゃん』
自分一人で戦えると思っていた。自分だけで充分だと思っていた。
「俺はな、占いオタクで毎日変なもん持ってるけど、どんなときでも自分を信じて俺らを勝利に導いてくれる
秀徳のエース様の事を信じてんだよ!」
―いつの間にか忘れていた。
けれど、
「……この試合、必ず勝つぞ、高尾」
いつの間にか、
思い出していた。
緑間
2012/09/13 23:59
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