知らない

興味本位から始まることなんて、いくつあるのだろうか。
数えきれないのかもしれない、実際に自分が興味本位から起きた行動は幾つもあるのだから。少なからず、彼のせいでそう動いてしまった事なんかは数えきれないほどに、ある。なぜ?それは、彼が私を男の私を好き、というから。不思議で仕方なくて。

本当は彼が好きだなんて、幼い頃の私には理解できやしなかった。それは、私は彼の考えを理解し手にとるように分かっていたつもりだったのだ、何一つ分かりはしなかったのに強がりな子供の自分。
今では、ありえないかもしれない。











ある冬のマフラーやコートや手袋を使う生徒が増え始めた寒い頃、三年生はテニス部から引退し切原君へと、部長は受け継がれると私達3年生はこれまでが嘘だったかのようにめっきり行かなくなってしまった。もちろん、その頃の私と彼、仁王君も同様に。顔出しするのは、面倒見の良いほんの数人ほど。
いつだか、テニスコートをぼんやりと眺める仁王君を視界の端に見つけ、何を思ったのか私は仁王君に近づいて声をかけた。


「仁王君、そこで何してるんです?」
「あ、柳生。別に何でもないぜよ」
「なら、ここにいる必要もないでしょう…?」
「可愛い後輩も見る為、にでもしとけ」
「全く、貴方という人は…」
「んなモン、慣れたじゃろ?」

そりゃあ、そうだ。二年の頃、突然にひょっこり教室に入り数分程度の会話をすませると飄々とした表情で帰って行った。よく分からない彼。掴みにくいとも言える。
それをゴルフ部からテニス部へと入部し、彼と喋り、彼以外の方とも喋り、そのあと彼がべったり付き纏うこともあれば、逆にあっさりとした日常会話のみしか話さないこともあった。
取り敢えずは、慣れるしかなかった。

「まぁ…それなりに」
「…柳生、一緒に帰るぜよ」
「は?」

脈絡の無い会話の流れに素っ頓狂な声を出すと彼は私の手首を掴んで歩き出した、本当に彼は私と一緒に帰るらしい。
めずらしい、彼が帰り際にテニスコートをフェンス越しから細目で見つめることも、彼がいきなり一緒に帰ると子供らしいことを述べることも。まるで、まだ表現が苦手な幼い子供のように見えて、笑みが零れた。
もちろん、手で口をある程度隠していますよ。

「いきなり笑い出すなんて、変な物でも食ったんか?」
「ふ、…いいえ別になんでもありません」
「おかしな紳士じゃのぅ」
「仁王君には言われたくありませんが」
「プリッ」

一応、この事は心に仕舞ってでもおく。
彼も私も、中学生でまだ幼いのだから。こんな子供じみてる思い出も、思いかえすと悪くないかもしれない。

「やぎゅー、」
「はい、何でしょう」
「好きじゃー」
「…ここ、まだ学校ですけれど」
「学校で言えるくらい、好きじゃけぇ」
「知りません」

ほら、やっぱり貴方という人は卒業してからも、ずっと訳の分からない人でいそうだ。




あえて言うなら、彼の考え。






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いつのまにか謙也受けばっかUpしていたので、急いで書いたやつ←
おかげで、さらに意味不明。

09年12月21日UP




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