おちておちて

今日、四天宝寺中学校は木下藤吉郎祭という名の文化祭が行われる。それもあって、校内に入ったらまぁ笑いのオンパレード。ユウジと小春のお笑いも冴えとった。
でも、それ以降が問題やねん。3−2は男女の衣装をまるごと取っ替えてカフェみたいなんをやるらしい。例えば女子なら、スーツとか男子制服や男物の服とか。ただ、それ以上に男子が酷い。女子制服や女物の服も勿論、浴衣やらカツラやらウィッグを重ねる。女子は流石に着てメイクで済む。男子はそれに加えカツラやらウィッグ、正直俺やったらキツイわ。

俺はじゃんけんで正当に買って裏方に回った。白石は負けたのと、女子からの強い要望により表。そりゃそうや、ここの売り上げは半分白石任せやろし、白石は変態なんか元からの良さなのか首を縦に振った。俺やったら無理や、…多分。



「いらっしゃいませ」
「女の…子?え、本物ちゃうて」
「ははっ男やで、俺」
「もしかして白石くんなんか?!」

そのまさかやで、女子。さっきから同じような会話を何回も何回も聞いた。クラス内の女子も黄色い声が湧いたんに…モテる男はつらいんかな、白石。
たしかに、黄色い声が響き渡るわけも分からないわけじゃない。実際、白石が女装したら笑えなかった。黒の生地に紫で描かれた桜は綺麗という一言に限る、それを薄化粧した白石が着たら男なのに艶やかに見えてしまった。髪にちょこんと乗っかる水色のコサージュも窮め尽け、取り敢えず洒落に為らないくらいの別嬪だった。思わず違うため息が出てしまうほどに。

「はぁ…」
「なんや、手ぇ止まっとるで」
「白石か…休憩?」
「そんなところ、やな」

客さんから見えへんところにある椅子に浴衣に皺が出来んように、ゆっくりと座って俺の動作を眺めていた。
少し振り返ってみるとぱっと見、美少女が居るような感覚がして頬がむず痒くなった。というか、頬が少し暑い。これが自分の[彼氏]なのだから、悩みが一つ増えた気がする。

「謙也、この格好どう思うん?」
「似合っとると思うで」
「おおきに、で、惚れなおしたやろ?俺に」

俺の目の前に回り込んで両手広げ自分の格好を見せ付けるように俺に見してきた。


「…アホ、これ以上お前に惚れてどうすんねん」
「んー…深いとこまで堕ちてみる、とか?」
「………-―もな」
「なんか言うた?」
「何でもないで」
君となら何処へでも



(お前とならえぇかも、)
(なんて)
(恥ずかしくて)
(言える筈がないやろ…!)









毎度毎度うぶな謙也でございます、間違っても謙蔵じゃないです。蔵謙です、私は攻めが女装するのに萌えます悶えます←
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09年12月06日UP




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