星に手をのばして

※引き金はあまりに重くの二年後
マフィアパロ
右腕×ボス



いくら俺の手が血で染められようとも、関係ないんだ。
全ては君の為、君の為ならこの命、惜しくない。
君は、俺の全てなのだから。
君を何があろうと全力で守る、そう誓った。




ある日、謙也の口から言い渡された任務を自分が思っていた予定よりも相手が弱かった為あっさりと早く終わらせ、血で汚れた手でアジトに戻った。

まだまだ、太陽が姿を現すまで時間があるこの時間。もちろん、アジトは静まり返っていた。
むしろ、この時間に五月蝿く騒いでいる方がおかしいのだが。
そう心の端で思いながらそそくさと自分の部屋へと向かった。
謙也に報告するのは明日でも遅くはない。この時間に起きている筈はないし、起こす気もさらさらない。
ましてや、こんな汚れた手で、血生臭い臭いが染み付いた体で会いに行くなどありえない。

「疲れたー…」
「お疲れサン」
「…は?」

聞き慣れた愛しい声のする方にへと振り向いた。そしたら、やはり声の主はボス、忍足謙也だった。何がなんでも護らなくてはならない人、失ってはいけない人。
それはファミリー皆が思うこと。

「なんで、おんねん」
「蔵かな?って思うて来てみたら、蔵やった」
「報告書は明日出すさかい、今は休ませてや」
「……」

謙也が何も言わないことを良いことに、俺は自室へと向かう為に、歩き出した。
そしたら左腕を掴まれ、掴んでいる相手が分かっている為に無理矢理、振りほどこうとはせず振り返った。
できるだけ優しい声音で、相手を納得させるように。

「謙也、離してくれへん?そのままやと、部屋に戻れへんねん」
「何で、」
「ん?」
「任務のあとは、俺を避けるん…?」

俺の腕を握る謙也の手の力が少し強まった。
一応、謙也も男なのだから少し痛い。
それよりも、謙也の誤解を解く方が先。

「それは、ちゃう」
「なら…!」
「汚い手で謙也に触りたくないねん、避けてるわけやない。ホンマや嘘やない」
「あほ…」
「あほで結構や」
「ちゃう。同じやんけ、汚いのは俺もや」
「んな事ない」

謙也の言葉に少々驚きつつも、直ぐさま俺は否定した。
黒光りする人の命を奪う道具を握り安全装置を外し左手で狙いを定め銃弾の入った道具で撃ち続けた。
返り血がこびりついた服だって汚い、自分の手だって体だって、謙也の全てを自分のものにしたいと思うこの考えだって汚らしい。
それと違い謙也は毎度毎度、泣きそうで辛そうな表情を浮かべる。俺と比べたら謙也は、汚くない寧ろ綺麗だ。

「同じや。人の命を奪う銃を持って、銃弾を人へと撃ち込んで、命を奪う」
「……」
「それが一方的に、蔵だけ汚いなんて事ないんや。同じなんや、俺ら」

にっこりと、話題にそぐわない笑みを口元に浮かばせている謙也に俺も笑みを、つられるようにして浮かべた。
こればかりは、降参するとしよう。

「そか。…ミルクティーでえぇか?」
「おん!」
「なら、行くで」

俺はまた、くるりと自室の方へと方向を変え歩き出した。
それを追いかけるように、ひょこひょこと着いて来る謙也に、愛おしさを感じたのは心の奥に仕舞っておこう。
少し悔しいけれど、自分よりも謙也が数枚ほど上手だったようだ。

La felicita a Lei



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設定を活かしきれていないぞっ←
相変わらず訳の分からない話になってしまわれた


10年03月31日UP


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