戸惑い

※タイムトラベル、十年後謙也



このご時世は幽霊とかで騒ぐことはあっても全てが全て震え上がることはないやろ。でも世の中、ありえへんっちゅー事は無いらしいみたいや。

「くらー、何やっとん?」
「何て…見たら分かるやろ、勉強」
「学生やからなー」
「なんやねん」

調子狂うわ、大人びたような容姿になって身長もちょっと俺よりでかくなっとる、ぱっきんきんだった髪も落ち着いた茶髪に変わっていた、何より今の謙也が呼ぶ白石とちゃうて、蔵って読んどる事や。
最初来た時は、呼ばれた時は内心焦った。嬉しゅうてしゃあないねん。でも、俺が知っている謙也とはあまりにも違くて戸惑いが隠せそうにもない。
しかも間近で俺の勉強しとるトコを物珍しいように、懐かしむように見てくる謙也。

「さっきから思っとったんやけど、近ない?」
「んな事あらへんて」

これは鈍感か。
多分、十年後の俺は謙也に振り回されてる気がする。じゃなければ、こんな行動しない。

「質問してもえぇ?」
「えぇよ」
「十年後の俺と謙也て一緒に居る?」
「おん、せやで」
「十年後の俺、謙也と身長差開いたん?」

この質問を聞いた謙也は数秒間はびっくりしとったけども、状況を理解するとケラケラ笑い出した。なんなん、結構真面目やで。

「ハハッ!もしかして、今の俺の身長見て不安なったん?」
「…せやで」
「ハハハッ」
「答えや」
「分かっとるって、大丈夫や安心しぃ。十年後の蔵は俺よりでかいで?」
「安心したわー…」
「ついでに光も伸びとるで」
「は?あの財前が?」
「成長期の効果や」

何なんやろ、むっちゃ謙也が心配になってきたんやけど、いやまて別に謙也と俺は一緒におるんやし?財前とくっついとる訳やあらへんみたいやし?せやかて、安心できる訳でもあらへんっちゅー、なんやねん!

「もう時間なんかー、残念や」
「は?」
「さいなら、蔵」

チュと、本当に軽い唇に軽く触れるだけの口づけを俺にした。多分、むっちゃ顔赤うなっとる、嬉しいのと不意を突かれたのと、なんて考えとる内に少し冷静になると笑み浮かべたままの謙也がボンッと音をたてて煙がもくもくと立ち、消えた。それというより、入れ代わった。
そこにおったんわ、顔がほんまに真っ赤になっとった俺が良く知る謙也がおった。

「おかえり」
「……ただいま」
「どうやった?十年後の「ダァアアッ…!」…なんやねん」

取り敢えず、今の謙也に聞くのはやめよう。もちろん、細かいことは後々聞く。


アンフェア・ゲーム






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毎回毎回、訳の分からない小説ばかり。
蔵謙ですよ、謙蔵じゃ…←煩いぞ






10年01月14日UP



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