僕は琴織さんに害はないと判断し、いー兄の部屋に案内する。


"継ぎ接ぎ"についての噂は色々聞いていたがいくつか言葉を交わすうちに普通の女の子だということが分かった。

もちろん僕達の"普通"が一般常識においてどんな位置付けかはおいておいて、だけれど。

しかしかすかな違和感も感じた。もしかしたらいー兄の雰囲気に似ているかもしれない。どことなく不安定なような。


いー兄の部屋の前で琴織と別れる。(さん付けは琴織に拒否されてしまいました。曰わく美人に距離をおかれるのは寂しい、とか。おかしな人だ。)

「では僕はバイトがありますので。崩子も部屋に帰っていなさい。」


「ありがとー。頑張ってねー。」

「いってらっしゃい、萌太。」















コンコン。



ガチャ。



「はい…?」


「久しぶり、いーくん。」


「…朔羅、ちゃん?」




みなさん曰わく"死んだ魚のような目"が少し見開かれました。わぉ、これって貴重じゃない?




「なんで、」


「あの素敵に頭の良い阿呆な研究者たちは私に飽きてしまったみたいだよ。」


ちなみにいーくんが人兄の友達だって聞いて訪ねてみました。

あと私零崎琴織になったから。



そう矢継ぎ早にまくしたてるといーくんは思った通り、固まってしまいました。





人間失格が、とかなんとか色々つぶやいた後いーくんはどうやら一旦思考を放棄することにしたみたい。



「えっと…琴織、ちゃん?とりあえず入りなよ。」



おじゃましまーす。


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