まるで恋みたいだ、とか。
それが人生というものだ、とか。そんな安易な台詞は使いたくなかったのだけれど。
「じゃあ君は、宗旨替えをしたということかい?」
そう問われてライアはきゅ、と唇を引き結んだ。
「…そんなに簡単なものではないみたいだね。それもそうか、君は結構な頑固者だから。」
見透かされているようなのも、こちらの反応を面白おかしく見守るようなその態度も、気に食わない。
気に食わない、のだけれども。
「今日はやけに喋るじゃない、メル。」
「、そうかい?」
「えぇ。」
闇をたたえた瞳、とでもいうのだろうか。身長が低いわけでもないくせに妙に上目遣いのようにして人の顔を見る。そうすれば心の中まで覗けるとでも云うのだろうか。
「そうか、ではもしかしたら僕もすこし浮き足立っているのかもしれないね。」
まるで平坦な口調でそんなことを言う。そのミスマッチさをいとおしいだなんて思い始めたのはいつからだろう。
「どうして。」
「どうして?さて、どうしてだろう。…ああ、」
高鳴る鼓動を悟られまいと俯かせた顔をやんわりとあげさせられる。宵闇の瞳にとらわれる。
いや、もうとうの昔に囚われていたのかもしれない。
「ねぇライア、どう思う?もしかしたら僕も、君を愛してしまっているのかも、しれないね。」
かけひきなのか純粋なのか。それどころかただの戯言かもしれないのに。それでも。
「あいしてる。」