「お茶を淹れようか。紅茶が良いかい?」
「ん、甘いものに合えば何でも。パウンドケーキを焼いたから。」
じゃあ南の方で見つけた葉にしよう、向こうではフルーツケーキと合わせていたんだ。
呟くようにそう言って、スナフキンがリュックから小さな包みを取り出した。
「どうかした?」
「、珍しいなと、思って。」
ケーキを切り分けていた手をとめたライアが問うた言葉は、真剣に返される。
「確かに。こうしたものはその土地で味わうのが一番だからね。でもこれは君にぜひ飲んでみてもらいたかったんだ。」
「へぇ?」
「ライアの好きそうな、いや、違うかな。君の作るお菓子に合いそうだったからさ。」
「そう。」
丁寧に切り分けたケーキをとっておきのお皿に乗せて、慎重にクリームをかけていく。
腕によりをかけたクロテッドクリームはぽってりと。
黒すぐりのジャムを添えればできあがり。
フォークは悩んで、スナフキンの選んだカップをちらりと横目で見、金色に決めた。
かちゃり
「「よし。」」
ふと顔を見合わせ、笑った。
「お茶がおいしく淹ったみたいね?」
「君のケーキもおいしいだろうね。」
「ええ、きっと。」
このお茶は、このケーキは。
ママの料理にも負けやしない。きっと、世界一おいしい。
だって総ては、君のため。