「なんで僕が行く必要があるの?」



ボス同士の対談。そんなものに僕みたいなひよっこがついて行って良いのか。

そんな疑問の元に発生した問いはあっさり返されてしまった。



「だって傀識は実践部隊のトップってことになってるし。」


「…なんと。僕まだこっちきてから半年も経ってないんだけど。」



まだ危険人物としてマークされてて良い時期じゃない?

リボーンくんのおかげで無駄に有名になった気はするけど。



「半年も経たずにキャバッローネの幹部扱いになったんだから仕方ないだろ?ちゃんと紹介しとかないと余計な勘ぐりされる。」



あー…来てすぐ虐殺とかしちゃったしなぁ。秘密兵器扱いは嫌だ。

確かに仕方ない。















ボスが運転する車で移動。助手席にはもちろんロマーリオさんだ。



「僕どうすれば良いの?」


「一応メインはボスの顔合わせだからな、自己紹介くらいで良いんじゃないか。しかし…」


「大丈夫だよ、分かってる。僕はまだ子どもだけど、そんなにガキじゃないから。」



ロマーリオさんが懸念するのも道理だ。

一番後ろについて部屋に入れば相手方のメンバーは随分多く、威圧感はもちろん僕に対して発せられるものは余り好意的でない。



「あいつか…?」
「そうだろう。明らかに東洋人だ。」
「まだガキじゃねえか。」



まぁおっさん達に比べればね。イタリア語だから分からないと思ってるのか挑発しようとしているのか、声が大きい。こんなことで頭にきたりしないけど。

相手方のボスが咳払いすればざわめきは収まって、対談が始まる。


直立不動はキツいな…

時間にして二時間くらいだろうか、ようやくボスが腰を浮かせた。


ボスが扉をくぐる瞬間、耳障りな大声が響いた。



「キャバッローネも終わりだな、こんなガキが最終兵器たぁ!ボスともどもガキのお使いじゃ」



あぁうるさい、そう感じたときには既にそいつは固まっていた。

僕の右腕がタクトを掲げ、軽く小さな円を描いたから。

きっと端から見れば指揮者が"やめ"の動作をしたようだったろう。



「傀識。」


「ごめんねロマーリオさん。だけど騒がしい人形を黙らせただけだ。…ねぇ、」



相手方のボスを見つめれば険しい顔で、



「ウチのが無礼を働いた。すまねぇが許してやってくれねえか。」


「許すも何も!僕はなんにも知らないよ」



腕を下ろしタクトを仕舞う。一拍おくれでそいつも自由を取り戻したようで、不規則に呼吸が繰り返された。


ボスとロマーリオさんは部屋を出ていき、僕も続く。扉から一歩踏み出したところでくるりと振り返り一言。



「お互い平和にやって行きたいものだね?」



僕の家族を侮辱するなんて良い度胸、とは思ってやれないんだから。



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