月日は流れ、ファミリーに入ると同時に物騒な伝説を築いた傀識もすっかりキャバッローネに馴染んできた。

同年代ということもあり、ディーノの世話係兼幹部として活躍中である。



「うー。ディーノくんって今までずっとこんな特訓してたわけ?僕マフィアに生まれなくて良かったー。」


「今一緒にやってんだから同じだろー?」



活躍中とは言ってもやはりまだ未熟。ディーノと共にリボーンの弟子として訓練を受けている。



「しかし傀識は筋が良いな。リボーンさんも誉めてたぜ?ボスも見習ってくれよな。」


「ほっとけよロマーリオ。…まぁな、傀識なんかやってたのか?」


「ディーノくんも部下がいればもう十分強いじゃない。…そうだなー。勉強も武術も色々やってたよ。暇すぎて。」



なんだかこいつは少し感覚がズレている、とキャバッローネの面々が察したのは割合早かった。



「そ、そっか…暇つぶしに俺の努力は負けるのか…?」


「諦めろボス。こいつは色々規格外だし…そもそもあんた真剣に武術始めたの最近じゃねぇか。」


「え、何々その話初めて聞いた。どーいうことロマさん。」


「ボスなーマフィア継ぐの嫌がってたんだよ。」


「そうなの?…あ、でも納得かも。マフィア向きじゃないよねディーノくんの性格。」


「お前なぁ…それ本人に言うかよ。」



ディーノはふてくされ、ロマーリオは苦笑する。否定はできないが肯定もできない立場だ。



「でもさ、」


「?」


「マフィアには向いてなくても"ボス"にはぴったりだと思うよ?むしろマフィアらしくないディーノくんじゃなきゃついていかない部下だっているんじゃない?」



ねぇ?と視線を向けられてロマーリオは笑う。



「まぁな。ボスがボスで良かったって思ってるぜ?俺達は。」


「マフィアに向いてなかったら意味ねーじゃん。」



今度は照れ隠しにふてくされたふりをする。



「だからー、そこは零崎な僕が補ってあげるって。リボーンくんも言ってたじゃない。ちょうど良いバランスになると思うよ。」



できる限り殺したくないディーノと、元半殺人鬼の傀識。なるほど良い組み合わせかもしれない。



「殺人鬼っつっても"元"で"半"なとこがお前も十分キャバッローネだよなぁ。」



そう返したディーノくんの言葉に、なんだか受け入れられた喜びを感じることも、僕がここに馴染んできた証拠かもしれない。

優しいこの空間を守るだけの力を与えてくれたことを、僕は何よりも零崎の血に感謝している。



- 17 -
 



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -