傀識を中に取り残し、連れ出されたディーノはリボーンの真意が分からない。



「おいリボーン!なんで傀識を置いてくるんだよ?」



「うるせぇ。ボスのくせに気づきもしなかったのか。」



「まだ残党…というより本体がいましたね。」



傀識に注意を集中していたディーノは気づかなかったが、確かにボスは死んだもののエヴィーラファミリーはそれほど人数が少なくない。

あの場にいたのが全てではないだろう。



「さすがにキャバッローネを相手にするんだからな、ボスは出てきてたみてーだが。」



「な、じゃあ…!ぐぇ。」



傀識の身を案じて踵を返そうとするディーノの襟首をリボーンが掴んだ。



「だからアイツはアイツなりの"ファミリーの働き"をこなすために残ったんだ。へなちょこはここで待ってやがれ。」



驚愕すべき実力を見せつけられた直後では下手な心配もできはせず、リボーンの指示に従った。



「オレはちょっと見てくるからな。」














「さて。」



くるりと振り返り、傀識は笑う。



「怖じ気づいちゃった?」



視線の先にはエヴィーラファミリーの構成員達。

ボスを失った衝撃に加えて、圧倒的な殺人能力を見せつけた相手を前に行動を起こせずにいるようだ。



「まぁいいけど。そんな訳で、キャバッローネに手ぇ出すとどうなるか分かったね?」



男達は必死に頷く。



「それから、僕は僕の意思で動いているから。キャバッローネのボスの命令でこーいうことしてるわけじゃない。だからキャバッローネのボスに関して心ない噂が流れたら…」



「わ、分かった!分かりました!」



「そう?じゃあ良いや。君たちエヴィーラファミリーだっけ?新しいボス作るんでもなんでも好きにすれば良いけど、キャバッローネに迷惑かけるのだけはやめてね。じゃ、さよーなら。」



それだけ言うとあっさり立ち去った。

道すがら赤ん坊の姿を認め、声をかける。



「あ、リボーンくん、ありがとう。」



「あぁ。新入りなりに考えたらしいな。」



「零崎のやり方だけどね。絶対的な恐怖は良い予防策だから。」




大げさなパフォーマンスで恐怖を与え、危険の回避を図りつつ、"平和的なマフィア"の肩書きは傷つけない。


リボーンは内心舌をまき、この逸材を引き入れた己の判断の正しさを実感した。



「おい、傀識。その指揮棒に名前はあるのか?一応武器みてーなもんだろ。」



「あるよ。"闇色主人―night lord―"って呼ばれてた。」














後日リボーンの手回しにより傀識は二つ名、闇色主人―night lord―として知れ渡ることとなる。

エヴィーラファミリーの残党による噂がこれを後押しし、マフィア界に新たな伝説が出来あがった。



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