「エヴィーラファミリーには聞かなきゃなんねーことがある。」


敵アジトを目前に、全員が揃ったことを確認したリボーンが呟いた。



「すぐには殺すなってこと?」



「一応話をしてみて、それからならある程度は殺して良い。情報源をいくらか残してくれ。できるか?」



「やるよ。僕の世界のやり方は通用しないんでしょう?…殺さない練習、しなきゃ。」



「残す人間はお前に任せる。ファミリー入団試験も兼ねるからな、見極めやがれ。…じゃ、突入だ。」



ガタン、と大きな音をたて扉を開くと多数の人間が集まっていた。



「来やがったか!」

「は!キャバッローネのボスがまだガキだってのは本当だったんだな。おとなしくエヴィーラの下につきゃあ乱暴はしないぜぇ?」



「うるせーな。」




赤ん坊の姿を認めたエヴィーラ側の動揺も、圧倒的な数の優勢によって鎮まる。



「最強の殺し屋…!」

「ビビんじゃねー。たった4人で何ができるってんだ。…やれ。」



その言葉と共に勃発した銃撃戦。


「ちっ。話し合いにもならねーな。…!」



「頭ぁ!」


音がやむ。原因となったエヴィーラファミリーのボスは、その巨体をゆっくりと地に伏した。



「あっれー?ちょ、リボーンくん。僕まだ何もしてないんだけど?」



傀識の言葉通りならば、何故相手が倒れるのか。


「スパイ…か。」




「かかったな!」


見ると4、5人の男が周りの人間に襲いかかり始めている。


あっという間に完成した地獄絵図。ボスを撃たれた男達は混乱し、互いが互いに攻撃をはじめた。



「ひでーな…」


「しかし、強ぇ。」



混乱を逆手にとり、裏切り者と思われる男達は確実にエヴィーラファミリーの数を減らしていく。



「ボス、ちょっと下がっててね。流れ弾に気をつけて。」


「傀識?」



3人が見守るなか、傀識は少しの助走をとって地面を蹴った。


そのまま高く跳び上がり、着地した先は混乱の中心。


突然現れた彼に驚く周囲の視線を受けて右腕を掲げる。その手にあるのは漆黒のタクト。指揮者のように軽く振り、「止まりなよ。」と呟いた。



「なっ…」


「どうなってやがる!?体が動かねぇ!」



ピタリと集団が動きを止める。その様はひどく滑稽で――――恐ろしい光景だった。



「やるな。」



「なんで落ち着いてんだよリボーン!…どうなってんだ?」





「さて。」



「何をした!?すぐ解放s「うるさいなぁ。ちょっと黙っててくれる?」」


そう言って傀識がもう一振りすれば喚く男達の口は噤まれ、沈黙がおちる。



「ん。静かになったね。じゃあ聞くよ。このゴタゴタの原因はなぁに?…あぁ、喋れないよね。ではでは。んー…色々知ってそうなのはそこのお兄さん達かな?はい、喋って良いよ。」



エヴィーラファミリーのボスを撃ったと思しき男の口が解放される。



「…けっ。誰がそうペラペラと喋るかよ。」



「えー。リボーンくーん。話してくれないってー。」



「自分で何とかしやがれ。必要な情報を聞き出すのもマフィアに欠かせない才能だぞ。」



「そっかー。じゃあ…そうだね。拷問開始だねー?」



傀識はゆっくりと集団からはずれ、大きくタクトを振り始める。

その動きに従って男達が操られ、標的に武器を向けた。



「お兄さんも動いて良いよー?」



自由を取り戻した男は対抗するべく銃を構え…驚愕する。


「なっ…そんな、ことが、」


彼を狙っているのはリボーン、ディーノ、ロマーリオを除いたその場の全員だった。



「嘘だろ…」


全員。操られているのだから彼の仲間が自分を狙っているのは仕方がないことかもしれないが、死んだはずの、自分が殺したはずの人間までもが立ち上がり、こちらに歩み寄ってくるではないか。



有り得ない光景、あまりにもゾッとする事態に男は戦意を喪失しへたり込んだ。



「あらら。ずいぶん情けないね。でもこれでクリアだ。じゃあ他は…いらないね?」



最後の仕上げとばかりに傀識がタクトを振り下ろしたと同時に、その場は血に染まった。



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