ありがとう、そう言って傀識は微笑む。


しかし次の瞬間には体を抱きしめ、うつむいてしまった。



「ぅあ…」



突如として漏れだす殺気。



――抑えているのが分かるのにこれ程の殺気…すげーな。



「リボーン、くん。」


「なんだ。」



顔をあげた傀識は唇を噛みしめ、苦しげな様子であった。リボーンは彼の左手が右腕を抑える形で震えているのに気づくが、あえてそれには触れない。



「今、さぁ…殺していーやつ、いない?」



精一杯冗談めかした口調からはしかし彼の限界が感じられた。



「潰して良いファミリーがあるが…"呼吸"か?」


殺人衝動が零崎に必要なものであるとしっかり理解したらしい。



「そ。…流石に、さぁ…唯一の友人が亡くなって、家賊が大勢死んで、全ての"つながり"が断ち切られるってのは、けっこー応えるわ…」



同類の消滅に"零崎"が存在の危機でも感じたのだろうか。
余りにも強い殺人衝動が傀識を襲う。



「俺達もついてくぞ、良いな?」



「ちょっと遠くにいてくれれば、おっけ。

ボス、無理しないで?」



なんとも言えない表情のディーノに声をかける。


「あの…マフィアのボスとしてやってきた貴方を否定するつもりはないけど、僕あんまり綺麗な殺し方しないらしくて。…仲間になってすぐひかれるのも嫌だし。」



少し青ざめながらもディーノは部下を受け入れる為、返答する。



「俺が傀識を仲間にしたんだ、受け入れるさ。…すぐには無理かもしんねーけど。」



「無理そうだったら俺が無理やりにでも下がらせる、心配すんな!」



ロマーリオが請け負い、その大らかな笑みに傀識もほっとする。



「じゃあ、出発までどのくらい…?」



「やり口が汚い分、小物らしくよえー連中だ…オレも行くからな、すぐにでも大丈夫だ。」



「ありがと、助かる。」





こうしてキャバッローネファミリーとしての零崎傀識、最初の活動が始まった。





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