しばらくの沈黙の後、言葉を続ける。


「3人は確か、生き残ったはずなんだけど。
2人は殺人を禁止されたみたいだし、1人は多分零崎の名は捨てて生きていくと思う。

だから。

"流血のつながり"は断たれてしまった。僕はひとりぼっちになってしまった訳だね。」


「…事情は分かったがオメーがこっちに来る理由にはならねぇし、そもそもどうやったら世界を渡るなんてことができんだ?」


重苦しい空気を破って質問を続けるのはもちろんリボーン。
それに苦笑して。



「僕を飛ばした人、人類最強って呼ばれててさ。彼女に不可能なことなんてない。彼女の武勇伝なんてまるで夢物語だよ?
それで…彼女、零崎が嫌いなんだ。
でも優しい人だから、僕が最後の"純粋な"零崎だったら直々に手を下してくれたかもしれない。

でも。

僕は純粋な零崎じゃない。

話聞いてておかしいと思ったでしょ?」


「なんでオメーが俺達を殺そうとしないのか、か?」


「零崎も例外を1人除いてある程度の自制は身につけてるよ。家族を守るためにもね。けど僕は守るべき存在を全て失ったにもかかわらず無差別殺人なんか始めなかった。

それは僕が半分しか零崎じゃないから。


さっき言った1人の例外、彼は零崎同士の近親相姦から生まれた零崎の中の零崎。

同じく僕も生まれついての零崎なわけだけど…母が、普通の人間だったらしいんだ。

本来有り得ない話なんだけどね、覚醒した零崎が家賊以外の家族をもつなんて。

でもまぁ生まれちゃったからには仕方ないじゃん?


つまり僕は殺人鬼と人間のハーフってこと。
完全じゃないから零崎にとっての呼吸である殺人も少なめで済むし自制心は強い方だよ。

だから多分彼女も殺すに殺せなくて世界から追放、みたいな形をとったんじゃないかな。
僕はただの孤児になったんだから。







だけど、お兄さん。」



傀識とディーノの目が合った。



「僕が殺人に罪悪感のかけらも感じないのも事実だ。…お兄さんは優しい眼をしてるから、僕みたいな奴をそばに置くべきじゃない。」





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