うん?


目を開けると一面の白だった。


病院、いや医務室…か。


トンネルを抜けると、みたいな?


異空間を抜けると白い医務室でした?いやふざけてるわけじゃないんだよ。ただ明らかにトリップとかパラレルワールドみたいな感じだよね。


決定が早すぎるって?でもさぁ、何となく予想はついてたんだよね。だって…うわー。赤ん坊入ってきた。なんか流しちゃったけどめっちゃ違和感だよね。ぷくぷくした赤ん坊がゴツい銃持ってるとか。


「目は覚めたのか。」


「あ、うん。看病してもらっちゃったみたいでごめんね。」


でも何で点滴。ヤバい薬じゃないと良いけど。


「栄養剤だ。」



あれ?赤ん坊何でも出来るの?今の読心術だよね?


「読心術は使えるが表情に出てるぞ。」


「おぉ。そんなことは初めて言われたよ。ってか何で栄養剤?」


ガチャ

「医者の話だと結構な間食事も睡眠も取ってなかったんだって?」


「あ、金髪のお兄さん。お世話になってます。」


入ってきたディーノとロマーリオに頭を下げる。


一応警戒していたロマーリオはこれに拍子抜けして見張りを下がらせた。



「で、何でそんな自殺行為したんだよ?」


「えー?いや、自殺するつもりはなかったんだよ。ただしばらく放心状態だっただけ。」


少し間をあけ、傀識は付け足す。


もう迷惑かけちゃったみたいだし、だんまりは良くないよね。


「何か話した方が良いことある?信じられないことだと思うけど聞くだけはタダだよー。」


「昨日と態度がちげーのはどんな心境の変化だ?」


「何か迷惑かけちゃったみたいだし、ここのトップっぽい人が集まってるみたいだし。ただ放り出してくれる感じじゃなさそうだから。」


「観察眼は合格みてーだな。…じゃあ聞くが。オメーの戸籍が存在しねぇ。"この世界のどこにも"だ。孤児ですらねー。これはどういうことだ?」


「あ、やっぱり?うーん。多分、だけど。異世界から来ました、みたいな?」


「は!?」

声をあげたのはディーノ。ロマーリオは絶句。リボーンが質問を続けるのは流石といったところか。


「何でそう思う。多分ってことは自分でやった訳じゃあねぇんだな?」


「え、だから…知り合いに突き飛ばされたんだって。」



「訳がわかんねぇ。…ちっ。最初から全部説明しやがれ。」


「え、信じんのかよリボーン?」


「俺はこいつが嘘をついてたら見破る自信があるからな。」


僕が信じられなくても自分を信じているから、か。この赤ん坊かっこいいな。



「最初から、か。何が始まりなんだろう。…やっぱり僕が"零崎"として生まれたことかなぁ。」


「その零崎ってのは裏で有名だったみてーだな。」


「裏って言っても裏社会じゃない、裏"世界"だよ。僕がいたところには四つの世界があった。

物理的な境界線があった訳じゃないけど、しいて言うなら能力的な境界線かな?財力、暴力、政治、表、って感じ。

重なったりもするよ。そして暴力の世界が通称裏世界かな。そこでは殺人が日常であり、一般人には考えられないような。誰かが的確に言い表していたね、確か…表世界の人間から見て僕達の世界は"日常が非日常で非日常が日常だ"って感じ?

ちなみにこの世界は多分あっちでの表の世界にあたるようだ。」


そこで言葉を切ると予想通り赤ん坊が怪訝な顔をする。しかし口に出したのは金髪のお兄さん。


「何でこっちの世界がどんなものか知ってるんだ?この部屋から出てないよな?」


「昨日ちょっと目が覚めたからそれ使わせてもらった。この世界については大分把握したよ。」


傀識が指差したのは一台のパソコン。


「大分ってのは…どのくらいだ?」


「うーん…ここがイタリアで、この世界ではマフィアが結構力を持っていて、ちょっとファンタジーで、金髪のお兄さんがキャバッローネファミリーとやらのボスで赤ん坊の君は最強のヒットマンである、とか?」


予想以上の情報収集能力に一同が呆気にとられる。


「俺のことはともかく…」


「ボスのことは別に秘匿事項って訳じゃないにしても…今はまだ力不足で、必要以上に情報が出ないようにしてあるはずなんだが。」



「あー、うん。僕暇だったから勉強はしてたんだよね。それにあっちの方がプロテクトすごかったし。数年前にサイバーテロリストが暴れまわってたものだから。」




「…まぁいい。それで?」


あっさり本職はハッカーです、と取られても仕方のない発言も今は重要ではないと判断されたようだ。





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