場所はアラバスタ王国、ナノハナの港。
必要物資を調達した麦わらの一味はスモーカーの追跡を辛くも逃れ、メリー号に到着していた。
「じゃあ父に伝えて!この国は救えるんだって!」
主人の言葉にカルガモはしっかりと返事を返し、しかし…躊躇うようにメリー号を見つめる。
「カルー?どうしたの、お水は持ったわよね?」
「クェーッ!?」
チョッパーによって翻訳が行われる。
「なんて言ってんだ、チョッパー?」
「え…見送りはしてくれないのか、って…」
一同は首を傾げる。見送りならば今現在みなでしているではないか。
その疑問を打ち払う声があがった。
「うん?あぁカルー、お使いに行くの。頑張って、気をつけてね?」
またも良い返事を返し、カルーは出発した。
すぐさま貴重な水をがぶ飲みする彼にビビは突っ込みを入れるが、我に返って振り返る。
メリー号に背を預けた人影は、悠然と銀髪を靡かせていた。
「え…うそ、ライアさ、ん…?」
呆然とするビビに、彼女は体を船から離し腕を広げて言う。
「久しぶり、ビビ王女様?」
「ライアさんっ!」
私の名前を呼んでそのまま抱きつき、どうして、なんでとうわごとのように呟く声はとても小さくて。
年齢に不相応な責任を背負う彼女に、もう少し頻繁に会いに来るべきだったとちょっとだけ、悔いた。