ああ、つまんねぇ…
自分の縄張りにいたってナンも面白ェことはねぇし…
まぁ、かといってマリージョアをうろついたからって別に何もありゃしね…ん、あいつは確か。
ピンクの鳥男、もといドフラミンゴの興味をひいたのは一人の少女。
聖地マリージョアにおいて海軍の制服を着ておらず、しかしもちろん七武海の者ではない。
銀髪の少女が一人、中庭の木の下で本を読んでいた。
ドフラミンゴはそれを二階から見つけ、彼女に関する情報を記憶に探した。
あれはいつのことだったろうか、おつるさんの"世間話"だ。
「ドフラミンゴ、この娘に下手なちょっかいをかけるのでないよ。」
その言葉とともに差し出された一枚の手配書には十代後半と思われる少女が写っていた。
「何だよおつるさん、孫娘でもいたのか?…こいつぁ確かに上玉だが、俺の好みじゃねぇよ…」
俺の女になるならあと5年は必要だな…フフ
「アンタの好みなんか知ったことかい。ほら、写真の下を見てみな。」
「懸賞金2億ベリーたぁ、意外だな…あぁ、この条件ってことは、犯罪者じゃねぇのか?」
"断罪者"
ライア・アルーフ
懸賞金2億ベリー
―ALIVE ONLY―
「犯罪者、ではあるのかもしれないねぇ。軍艦を沈められたのは一度や二度じゃないし。」
「にも関わらず、殺さない必要があるって?フフ、面白そうな話じゃねぇか。詳しく聞かせろよ。」
「住民を、守っているんだよ。」
―額に関わらず、一般人に有害な犯罪者を海軍に引き渡す。
その一方で気に入った海賊を逃がす、どころか手助けすらする。
「正義のヒーロー、ってとこかねぇ。」
「フフ、なら海軍じゃねぇか。なんでまた軍艦も沈めたんだ?」
「アンタ達ならわかるだろう。海軍にも色んな奴がいる。一般人を海軍から海賊が守ることさえある。…情けない話だがね。」
「フ、フフッ。じゃあこの娘は海賊からも海軍からも一般人を守ってんのか。そりゃあ、ヒーローだなァ。」
「軍艦を沈められた以上、懸賞はかけないと海軍の威信ってやつに関わるからね、しかし助かってるのも事実だ。」
「…五老星が特別扱いしてる犯罪者ってのはこの嬢ちゃんか?」
「どこからそんな噂を拾ってくるんだろうね。
そうだよ、五老星が特権を与えた。
海軍本部に事前/事後報告必須の条件つきで海兵を罷免できることになってる。
表向きには犯罪者に協力をあおいでるわけじゃなく、あくまでも"取引"という形でね。
アンタ達七武海と同じような扱いさ。
他の奴らにもライアのことは伝えてあるからアンタにも、と思ったが、やっぱり興味を持っちまったかい。」