「アラバスタの様子?…あぁ、今大変なんだっけ。」



「七武海の一人が不穏な動きを見せているらしくてね。」



あそこは確か国政に秀でた王が治めていた筈。

最近の内乱に食えないクロコダイルが関わっている可能性は極めて高い。



「ネフェルタリ王もビビも好きだから一度行ってみようと思ってたんだよね。だから問題ないけど、どうしたら良いの?内乱て止めた方が良い?」



「いや、様子を見てくれればいいや。好きに動いてくれても大丈夫だし。…しかしまぁ、随分と冷静じゃない。心配しなくて良いわけ?」



「まぁ、ね。王もビビも、何よりアラバスタが簡単に滅ぼされるような気がしないからさ。本当に逞しい国だよ、あそこは。」



「そう。」



クザンとしては能力的にそりが合わずあまり良いイメージはないのだが。


「溶かされちゃうもんねぇ。…厳しい環境だからなのかな。本当に、強い国なんだ。だからまぁ、失敗だよね、クロちゃん。」



…ん?



「クロ、ちゃん?」



「あ、知らなかった?結構仲が良いんだよ。仲っていうか…気が合う。」


気が合う?正義のヒーローと称されるライアと、正義の皮を被ったあの男が?

もしかして…いやこの少女が、あの男の裏の顔を知らないなどということがあり得るだろうか?

クザンの怪訝そうな顔に気づき、ライアは苦笑する。



「あのね、顔ほど悪人じゃないんだよ、クロちゃん。…面白いことが好きなんだ、彼も私も。ただなんていうか、時々えげつないやり方するんだよね。今回のはちょっとやりすぎ、かなぁ。」



クロコダイルが直接一般人に手を下しているかは定かでないが、明らかに誉められた行動はしていないだろう。

国一つを相手にしておいて"遊び"の領域だというのだろうか。



「全く…ライアちゃんの知り合いだからって…」



スケールが大きすぎる。



「何それ。私がアブナい人みたいね。」



「否定できないでしょーが。」



「まーねぇ。」



しかし、とクザンは思う。彼女が弱い所を見せることは余りない。

だからこそライアが無理をしていないかが心配になる。

今アラバスタの状況は、彼女の大事な者同士が争っているというもので。板挟みとはならないだろうか?



「ライアちゃん、あのさ…無理して行かなくても良いんだよ?報告はどうせ来るんだし…」



ん?とライアはクザンを見つめ、その意図を汲み取って笑う。



「今回のはねぇ…多分クロちゃんが負ける。王女様にはつよーい味方がついてるしね。でもね?私の知ってるクロちゃんは、負けた責任くらい自分できっちり取れるよ。それにその位で潰れるような可愛い人じゃない。」



楽しそうに言ってから、クザンの方を伺うように付け加えた。



「それにね、アラバスタにはロビンがいるの。」



これには青キジとあっても衝撃を受けた。



「会う、の?」



「今会っても、ロビンを追い詰めるだけだと思う。だから会わない。だけどね、クザン。もう少しできっと、良いことがあるよ。」



そう言って微笑んだ彼女の言葉の意味をクザンが知るのは、また先の話――――



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