「ベック。」
そう呼びかけると彼は予期していたように振り向き、笑ってみせた。
「よう、ライア。鷹の目ときたのか。」
「ん。海軍様のお使いしてたら、乗ってた船をミホークに斬られたの。」
「そりゃあ災難だったな。ほら。」
「ありがと。」
苦笑して私の好きなドリンクを勧めてくれるベックは、大人だ。
「よく疲れないね、副船長。」
皮肉っぽく呟いてみせれば、今度は声を出して笑い、大きな手で私の頭をなでる。
「もう慣れたさ。今じゃあお頭が黙ってると調子が狂っちまう。」
「ま、ここ一番ってときにちゃんとしてるから問題ないんだけど。この海賊見てるとベックがお父さんみたいな気がしてくる。」
「やめてくれ、あんなデカい子供はいらねぇよ…」
本当にうんざりした顔をされてしまった。口を滑らしてしまったね。
、とそこに乱入者が現れた。
「おーライア来てたのか。こっち来て飲めよ、今日はめでてーんだ!」
すっかり酔いが回っているシャンクスの言葉に皆から「お頭はいつも飲んでるじゃねーか!」と野次がとぶ。
「本当にもう、愉快な海賊だね、ここは。」
さて、この宴はいつまで続くのやら…