「お前寒いから中にいたんじゃ…」
「わー。カルーがいる。超カルガモ部隊隊長のカルーがいる。」
妙な説明口調は驚きゆえか。
ゾロも聞き慣れない単語に首をひねっている。
「超カルガモ部隊?」
「カルー、君がいるってことはビビもこの国に?」
クェーッと鳴く様は肯定を示しているようで。
何よりカルーは飛び出してきてからまっすぐライアに近づき、今も体をすりよせている。
そして彼女のセリフ。
「お前ビビの知り合いか?」
「そうだよ。っていうかロロノア君、私もカルーもお前って呼ぶとややこしいのだけど。できたら名前で呼んで下さいな。」
「ならライアもロロノア君とか呼ぶなよ、柄じゃねぇんだ。」
「ロロノア?」
「鷹の目と同じ呼び方すんじゃねェ。」
「む。じゃあゾロね。
で、ビビもいるの?」
「ああ。」
ふむ。アラバスタは確か大変な内情。なのにビビがいるということは。
「海賊王女?」
「一緒に船に乗ってるだけだ。」
「なら…麦わらくんのお人好し発動中?」
「ああ。ビビを国まで…ってライアお前ルフィも知ってんのか?」
知り合いの王女が海賊船に乗っている場合、普通は誘拐とか人質だと考えるのではないだろうか。
それにもかかわらず"お人好し"と表現するからには海賊としての麦わらのルフィを知っているだけとは考えにくい。
「直接会ったのは一度だけだけどね。」
「あいつらに会いにいくのか?」
「あ、いや。この国に来たのは別の目的だから。うん。二人にも私がいたことは伝えなくて良いよ。」
じゃあね、とライアは船から飛び降りる。
「よく分かんねぇ奴だったな。」
ゾロもまたすぐに鍛錬に戻った。