ドラム王国の港には一隻の海賊船。
そこに上半身裸で鍛錬をしている男が一人。
「寒くないのかな、ロロノア君?」
「何モンだっ!?」
突如背後から声をかけられゾロは身構える。
「あぁごめん。驚かせるつもりはなかったのだけど。ついでに言うと貴方にもこの船にも害をなすつもりもないよ?」
ライアがそう言っても簡単に警戒をとく男ではない。
相手の存在に声をかけられるまで気づかず、自分の名が知られていて尚且つ、相手が剣を装備していれば尚更のこと。
しかしこの声は聞いたことがあるような。
ライア・アルーフと言えば大物の賞金首だ、名前と顔位知っている。しかしだからこそ、グランドラインに入る前に彼女に会う機会など思い至らない。
「あぁ、適切な処置をしてもらったんだね。他にも傷が増えているような気もするけれど。」
一番大きな傷を見てホッとしたように呟くライアを見てゾロははっきりと思いだす。
自分が鷹の目に敗れた後現れた人物。
ずいぶん楽しそう、いや仲が良さげだった。
加えて会話の内容から推測するにこいつは鷹の目と渡り合える…!
「なぁ、あんた剣が使えるんだよな…?なら「あ、ごめん無理。」…ぁ゛?」
「私は剣士じゃない。」
「剣を持ってんのにか?」
「うん。私は剣に命をかけていない。」
「…」
「遠距離なら銃を使うし剣では勝てないなら他の方法をとる。私に貴方達のような信念はない。そんな私が貴方と"死合い"をしたら貴方の誇りをけがすことになる。」
「手合わせ位なら良いんじゃねーか。」
「そうだね、ミホークとはたまにするよ。でも貴方とはしない。」
「俺にはその資格すらねェと、そういうことか…?」
は?とライアは固まり、気まずそうに苦笑する。
「ごめん。そんなつもりじゃなかった。
えっと…性格の問題?でさ。ロロノア君、途中で本気になりそうなんだもの。」
「そういうことか。」
確かにゾロは本気で戦ってしまうだろう。
彼の覚悟と信念がそうさせてしまうのだ。
「分かってもらえた?」
「あぁ。」
その時船の中から「クェーッ」 と一匹の鳥が出てきた。