「お前に選ばせてやろう。」
尊大な態度で大男が言う。
「一人犠牲となって世界を救うか?それとも逃れて、世界と共に滅びるか?はは、どちらにしても命はないがな。」
言葉を投げかけられた少年、年の頃は17,8だろうか。
黙って大男の芝居がかった台詞を聞いていたその少年は、その台詞を馬鹿にしたように鼻で笑った後、口の端を吊り上げた。
「いや、いらねぇよ。そんな選択肢、俺には無意味だ。」
「ほう?ならばどうする?」
「俺は死なない。絶対にな。」
「ふん、ではこの世界を捨てて宇宙にでも行くか?」
「くく・・・いや?俺は死なねえ。とりあえずそれは決定事項だ。
で。まあ・・・“ついで”だから、この世界も救ってやるよ。」
「なッ・・・っ」
銃声が、響き渡った。
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