light | ナノ




ある夏の暑い日、私はずっとずっと大好きだった彼と… 別れました。



レギュラーになるまえからずっと応援して、やっとレ ギュラーになっても応援して。告白されて、彼女になっ て、毎日がしあわせだった。



彼がレギュラーになると今まで彼に見向きもしなかった 女の子たちが彼をかっこいいとか、好きだとか彼をまえ から好きだった子をいじめたりとか…



私も彼の彼女だからたくさん嫌がらせを受けました。

ものを隠されたり、靴箱にいたずらされたり、呼び出し があったり…



辛かった、苦しかった。だけど毎回彼やレギュラーの皆 が助けてくれたから私は大丈夫だと思ってた…




ある日彼がレギュラー落ちしてた宍戸君に負けてレギュ ラーから外された。悲しくて悔しかったけど、宍戸君が ボロボロになってるのをみて、宍戸君が努力したのがす ごくわかったからそして私なんかより彼の方が悔しかっ たとおもうから、私は彼の隣にいることしかできなかっ た。




そして、彼がレギュラーから落ちた次の日…つまり今日



彼から告げられたのは、別れ話でした。


「ごめん、名前。名前のことは今でも大好きだよ!…で も俺のせいでもう苦しませたくない。自分勝手で、本当 にごめん」

幸せになって、だなんて笑う彼はまだレギュラーになる まえからずっと変わらなくて私が大好きな笑顔だった。



あとからあとから落ちてくる涙は止まらなくてなんだか 笑えてくる。



萩のバカ、なんて口にすれば申し訳なさそうでどこか泣 きそうな顔で私の涙を拭いて、ギュッと抱きしめてごめ んねなんて、でも名前には幸せになって欲しいからって もう一回いってそっと私から離れてテニスコートの方へ 歩いて行った。


萩の後ろ姿はなんだかないているように見えてそっとそ の後ろ姿に、

「泣きたいのはこっちだよ、ばか」

とつぶやいた。



離れたぬくも り



(君が私の隣から居なくなったとたん) (わたしの世界から色が消えた) (太陽を失った私に残ったのは)


(モノクロのセカイ)


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