裏表ワンセルフ | ナノ





ージローsideー




俺は、なんだか授業にでる気になれなくて今日の授業はサボることにした。まぁ、理由はわかってるんだけどね。


それは、昨日部活をサボって屋上の吸水塔の上で寝ようとしてたときのこと。誰かが来たから、興味本意で下を除くと、そこにはよく知ってる女の子。幼なじみの名前ちゃんがいた。声を掛けようしたんだけど、太陽に反射して光っている一筋の線。



その時に俺は名前ちゃんが泣いているのに気がついたんだ。俺は言葉を失った。だって、名前ちゃんが泣いてる所なんて始めてみたんだ。


小さい頃から一緒にいるけど、泣いてるの本当に見たことない。転んで大怪我した時も、先生に怒られた時も、友達と喧嘩して酷いこと言われた時も、俺達が部活に入って1人寂しい思いをしていただろう時も。名前ちゃんは、泣かなかった。きっと、俺達の知らない所で泣いていたんだろうけど。




だから、名前ちゃんを泣かせてる理由がすごく、すっごく気になった。


名前ちゃんを見ているとその視界の後ろ、つまり校庭が、正確にはそこにいた人物が目に入った。そこにいたのは、これもまた見知った顔で、少し沈みだしたオレンジに照らされるように、包み込まれるように、幸せそうな顔で亜美ちゃんとキスしていた岳人だった。

名前ちゃんは、その光景をただただ静かに涙を流しながら見つめているだけだった。まるで、その光景を瞼の裏に焼き付けるかのように、受け入れたくない現実を無理に受け入れようとしているかのように。俺は名前ちゃんの気持ちも知らないし、何の確信なんてないけど、そう感じた。



俺はこの時、こんな時に、大切な幼馴染が泣いている時に思うことじゃないんだろうけど、名前ちゃんがすごく儚くでも凛と綺麗に見えた。






本当だったら名前ちゃんから理由を聞いて、慰めたりした方がいいんだろうけど、それは俺じゃ役不足な気がした。





きっと、名前ちゃんは岳人のことが好きで、だけどその想いは絶対に叶うことはなくて。






悪い魔法使いからお姫様を助けるのは、王子様だ。王子様じゃなきゃ駄目なんだ。







だから、俺じゃなくて、宍戸が…。宍戸じゃなきゃ意味がない。




だから、宍戸。早く来てよ。




俺、大切な幼馴染がこれ以上悲しい想いすんの見ていたくないC。











きみを守るのも傷つけるのも他の誰かで








(俺はキミを傷つけてる悪魔ってわけじゃないけど)



(守れているナイトっていうわけでもない)








(きっと俺は、以上キミが悲しむことを望まない登場人物A)


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