廊下での会話から数日がたった。
あれ以来岳人とジロちゃんの2人は亮ちゃんと私を必要以上に一緒に居させようとしているのを嫌でも感じた。
別に亮ちゃんのことは嫌いじゃない。むしろ好きだ。それに亮ちゃんの気持ちもものすごく嬉しい。誰かに好きになってもらうのなんて初めてだし、それが私のことをよく知っている亮ちゃんからの好意だから、私の存在を認めてもらえたようで暖かい気持ちになる。
…でもっ、それでもやはり、私の想いは岳人に傾いいているのだ。
岳人がいいのだ。
こんなの絶対ダメなわがままだってわかってる。でも、それでも私の心から岳人が出ていくことはなく、ずっと私の中心にいる。
この想いから何度逃げ出したいと思ったことか。
それでも、何度背を向けてもこの想いから逃げ出せることができない。
なんでこんなに苦しいんだろう…?
はぁ、恋ってこんなに苦しいんだ…。
こんなに苦しいんだったら知らなきゃ良かった。
亮ちゃんもきっとこんな気持ちなのかな…?
頭の中に遊園地でみた悲しそうな顔をした亮ちゃんが浮かんだ。
………、いい機会なのかもしれない。
岳人を…、私の心の中から追い出す。
もう、潮時だよね…?
だって私がここで亮ちゃんを選べば…、誰も苦しまない。
私のこの気持ちだってきっと亮ちゃんが忘れさせてくれる。
そうだよっ…、それがいいよ。
誰も、苦しまない、最高の解決策じゃないか。
頭ではちゃんとわかってるのにっ…、どうしても岳人のあの好きな笑顔が心から出て行ってくれないっ。
もう、あなたを思って泣くことはしないって決めたのに、1人屋上から校庭を眺める私の瞳にはたくさんの雫が溢れていた。
そこには、それはとても幸せに心からの愛情が浮かんでいる笑顔でキスしている岳人と亜美がいた。
逃げられない離れられないでも叶わない
(確実に叶うことのない、私のこの想い)
(忘れさせてくれるのは誰…?)
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