裏表ワンセルフ | ナノ





岳人と亜美はあのあとすぐ付き合いだした。



どうやら、亜美も岳人のことが好きだったらしく




岳人が告白して来てくれるのを待っていたらしい。





つまり、私がどーこーする前に2人は両想いだったということだ。





笑っちゃうよね。





でも、岳人と亜美が付き合っているのが納得いかない子もいるっぽい。





岳人が好きな子達だ。




自分達が付き合えなかったから




自分達の岳人が横取りされた!と騒ぎ出す輩が出てきたのだ。




それを聞いたとき思わず、羨ましいと思ってしまった。




素直に岳人への好意を表すことができるなんて…




だって、私が岳人へこの想いを伝えたら




岳人が困ってしまう。




それに、亜美も優しいから私に譲ろうとするかも。





そんなのは駄目だ。




名前の足は知らず知らずのうちに人がいなさそうな場所に向かっていた。





つよがってはいても泣きたかったのかもしれない。




名前はまだ泣いてないのだ。





岳人から亜美への想いを聞いたときも、2人が付き合いだしてからも…。




きっと心が悲鳴をあげていたんだろう。





泣きたいって…






名前の足が止まっときそこには思いもしていなかった光景が広がっていた。





「あんたなんかがなんで、私たちの岳人と付き合ってんのよ!?別れなさいよ!!!!」




そう、亜美が複数の女子に囲まれていたのだ。




「そうよ!!!私達の方がずっと前から岳人のこと好きだったんだから!!横取りなんて卑怯じゃない!!??」





今にもリンチが始まりそうな光景におもわず名前は目を瞑りそうになった。




亜美はけして気が強い子ではない、





こんなのきっと耐えられないだろう。





今すぐに岳人を連れてこなきゃ…!!




そんなとき耳を疑う言葉が聞こえた。




「訂正してください、岳人君はあなた達の物ではありません…。 




まず、岳人君は物じゃないし、強いてゆうなら私の物ですっ…!




それに、好きになった期間は関係ないと思いますっ…!!」





亜美がこんなことゆうなんて…




意外だった…





「それじゃあ、あんたは一番長く岳人のこと見てきた名字さんが可哀想だとは思わないわけっ?」




「えっ…?」




ーーっ!!




なんで、知ってるの…?





「なに、あんた知らなかったの?でも、普通に考えてそうでしょ?




岳人と名字さんは小さい頃から一緒だったのよ?




普通恋に落ちるものでしょ?




なんたって相手は岳人だもの。




あぁーあ、名字さんかわいそー!




長年好きだった相手をぽっとでのと友達に取られちゃうなんてぇ!!」




名前はその場に立ち尽くしていた。




まるで、根っこが生えたようにそこから動けなくなっていた。




この場から逃げてはいけないと…




本能がそう告げていた。




「…名前ちゃんが岳人君を好きかどうかはわかならい…。




もし、好きだったとしても私は譲らないし譲りたくない。





だって、好きなのに行動を起こさない名前ちゃんが悪い…




私は岳人君の目に映れるように精一杯努力したっ!!!!





なのに、いつも岳人君のとなりには名前ちゃんがいて





正直ずるいと思った。





だって、こんなに努力してるのに岳人君の隣にいるのはいつもなんの努力もしてない名前ちゃん!!





そんな子に岳人君は譲りたくない!!」





私の考えは甘かった




亜美は私に岳人を譲れるなんて全然考えてないじゃない



良かった。




それだけ亜美も本気なんだよね?





これで私も自分の想いにうそをつく決心が着いた。





亜美の気持ちがしれてよかった。









「ただの幼なじみだよ」




私がここにいたなんて誰も思いはしなかったのだろう。




目を見開いてこちらを見てる。





「私と岳人はただの幼なじみ





勝手に変な妄想しないでくんない?





あ、後そうそう私今岳人に連絡しちゃったから逃げんならさっさと逃げれば?(笑)」





「ーーっ!!」







バシンッ!!!







教室に乾いた音がこだました。




「いい子ぶってんじゃないわよ…!!」




そういって、女子たちは消えていった。




「名前ちゃん大丈夫?!」




亜美涙目…




あそこからじゃわからなかった




やっぱり怖かったんだろうな…





「全然大丈夫!!




痛くも痒くもないよっ!




それより岳人に昇降口で待ってるように言ってあるから行きな!




あたしも帰るし!」




「で、でも…!」




「だいじょーぶ!大丈夫!!




あ、あと本当に私と岳人はただの幼なじみだから!




私、岳人に恋したことないもん




あんなかわいい系男子好みじゃないし!(笑)




ほら、早く行かないと岳人心配しちゃうよ!」





「…ごめんね?




助けてくれてありがとう!!」




そういって、亜美は教室を駆け出した。








亜美がいなくなった教室で名前は1人静かに涙を流した。







ただの幼なじみなんて言い飽きてる


(今は思いっきり泣こう)




(これからはキミ思って泣くことのないように…)




(私は明日から岳人に恋をしたことがない『ただの幼なじみ』を演じるのだから)


(だから、今だけは岳人が好きな私でいさせてください。)

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