4.はにかみを数えて



俺は練習後大体ごんべいに話かける。


ごんべいはテニスコートの近くの芝生の上にいる。


俺が話しかけると笑顔でお疲れ様、なんていうごんべいにどうしても照れてしまうけど何度も何度飽きずに毎日会いにいった。





その日も練習後、ごんべいが待っているであろう芝生の方に早足で向かった。





芝生の近くまでいくとごんべいの楽しそうな話し声がきこえた。



そばに行ってみると誰かと楽しそうに電話をしていた。







何と無くそばに行きづらくて、声が聞こえる最低限のところまで行ってごんべいの話に聞き耳を立てた。



「えー、学校?楽しいよ!あのねあのね、光。私ね一目惚れしちゃったの!」




ごんべいの一言にびくっと反応した。



そしてさらに耳を研ぎ澄ませ話の続きを聞いている自分にすこし呆れたようにニヤッとした


「えー、誰って内緒だよ!………どうしてもって………」





なかなか相手を言わないごんべいに今更ひやっとした。




思い返せば俺をごんべいが好きでいてくれる確証なんてなわけで、少し期待して聞いていた自分を殴りたい。










そう思って踵を帰そうとした途端、またごんべいの声が聞こえて俺はダッシュでごんべいに飛びついた。




「て、テニス部の切原あ、赤也君」



いきなり飛びついたおれに驚いたような表情をしたごんべいはとりあえず電話を切ってどうしたのっと、真っ赤な顔で聞いてきた。




直接聞いたわけではないとはいえ、今すぐ俺の気持ちに気づいて欲しかったからいったんごんべいの顔を除きこんで瞳を見つめた。








「俺はごんべいのことが好きだ!だ、だからそのつ、付き合って欲しいんだけど」




きっと今俺はさぞりんごのように真っ赤だろう。



幸村部長が爆笑して破顔するくらいに…




でもごんべいも同じくらい赤くなっていてなんだか嬉しかった。




そしてもらった答えはyesの返事でまた俺は力一杯ごんべいを抱きしめた。




はにかみを数えて


(微笑んだきみの笑顔は宝石より綺麗だなんて)


(頭に浮かんだ恥ずかしいセリフにはひっそりと蓋をして)




(それでもきみの笑顔が一番好きだよ)

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