5.雨が降ってるこんな日には [ 5/6 ]

幸村君のファンクラブさんからファンになる宣言をされてから早いもので一週間がたった



あれからはもう嫌がらせなんてものはなくむしろファンクラブの皆さんが



私のためにできることはないのか必死に探しているようだった



蓮ちゃんに相談したら別に気にしなくていいだろうと言われた



本当に気にしなくていいのだろうか…




まぁ、ほっといても大丈夫か…




「すごい雨だねぇ〜、最近雨ばっかり」



そういって、なっちゃんは机に突っ伏した。



「雨って気分までじめじめしてくるからイヤなんだよねー」



「だよねー」



確かに最近は雨ばかりだ。



梅雨だからしょうがないことなのかもしれないが



わかっていても憂鬱な気分になる



朝はふっていなかったのにお昼頃から降り出し、授業も終わったのにまだふっている



麻菜が雨の様子を眺めていると夏樹が勢いよく起き上がった。



「なっちゃん、どうかしたの?」



「雨だからこそできること思いついた!!」



「雨だからできること…?」



「そう!相合い傘よっ!」



「相合い傘!?」



「涼と相合い傘して帰ろーっと!」



涼というのはなっちゃんの彼氏だ



「いいなぁ、そうゆう相手がいて〜」



「なに、言ってんのよ!あんただっているでしょ〜?」



「…?」



「えっ、ちょ!幸村くんよ!幸村くん!」



「なっ!そうゆうんじゃないの!ただのお友達ですー!!」



「ふ〜ん♪」



「加藤なににやけてんの?顔だるんだるんだぞw」



「なにおー!佐藤の

くせにー!!」



「ふは、なんだそれw」



今話しかけてきた佐藤くんというのはクラスの男子でなっちゃんと仲が良く



あまり社交的とはいえない私にも話しかけてくれたりする



「にやけてた訳じゃないけど〜、ちょっと麻菜の色恋沙汰についてね〜」



「おっ、なになに鹿山好きな奴いんの?」



「そ、そうゆうんじゃなくて!



ちょっと、なっちゃん!!」



「あはは、ごめんごめんw」



「??どうゆうこと?」



「あぁ、麻菜と幸村くんが最近いい感じじゃん?って話ー!」



「幸村って、テニス部の?」



「そうそう!」



「そういえば、今日傘忘れたーってたぞ?」



「えっ、そうなの?あ、そういば朝雨ふってなかったもんね」



「おぉっと、これは麻菜さんチャンスなんじゃないでしょーか!?」



「おっ、俺いい情報与えちゃった感じ?



さっすが俺!」



「佐藤のくせにやるじゃん!てか、なんでそんな情報しってんの?」



「えっ?俺テニス部だから幸村とはそれなりに話すぜ?」



「「えっ!?」」



「えっ?知らなかった?」



「初耳だよー!ねっ、なっちゃん?」



「うん、全然知らなかった」



「まじかー!一応準レギュなんだけどw」



「えー、すごい!!」



「今度試合とか見に来いよ!」



「うーん、気が向いたら…」



「おう!てか、お前ら帰んなくていいのか?」



「あっ、そうだった!涼と相合い傘して帰るんだった!!」
 


なっちゃんは素早く鞄を持ち急ぎ足で去っていった



「じゃあ、俺も帰るわ」



「あ、うん。ばいばい!」



佐藤くんと別れ下駄箱に向かうと最近よく見かける綺麗な藍色の頭を見つけた



「幸村くん、どうかしたの?」



「あっ、鹿山さん!



あは、ちょっと傘忘れちゃって」



「あっ、そっか…




あの、よっ、よ良かったら入ってく?」



自分でも一瞬何を言ったのかわからなかった



「あっ、えっと、友達が困ってるのほっとけないっていうか…


えっとあの」



「ふふ、ありがとう



お言葉甘えて入れさせてもらおうかな!」



「…!うん!!」







(きっと幸村くんを傘に入れて帰ろうと思ったのはさっきなっちゃんたちとの話題のせいだ)


(決して好きなわけではない)


(きっと、心なしか心が弾んでる気がするのも気のせいだ)


(でも、たまにはこんな雨の日もいいかもしれない)

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