夕闇カフェオーレ



※エコロがレムレスの家に居候している設定です



「何飲む?コーヒー?ココア?」


「俺は、カフェオーレ派だ!」


「…相変わらず苦いのは駄目なようだね?」


「う、うるせぇ!遊びに来てやったんだからゴチャゴチャ言うんじゃねぇ!」


「はいはい、わかったよ」


日が傾き始め、肌寒く感じる午後の4時、レムレスの家に押し掛けるようにシェゾがやって来た

彼がレムレスの元に来ると、決まってカフェオレを飲みたいと催促する

レムレスは相変わらずだね、と苦笑いを零しながらも、シェゾにカフェオレを作ってやる

ちなみに自分にはコーヒーを淹れている

カフェオレの入ったカップをシェゾに渡し、クッキーの入った皿をテーブルの中央に置き、コーヒーの入ったカップを手に取り、レムレスは椅子に座る


「今日はいねぇのか?エロロ」


「…エロロじゃなくてエコロだよ。彼ならまだ帰って来てないよ、多分、魔王様の所なんじゃない?」


「ふぅん、そのうちサタンの影響でヘンタイになって本物のエロロになっちまうかもな」


「ヘンタイは君でしょう?エコロなら大丈夫だよ、いい子だし」


「なっ、今なんて言った!?」


「さぁね?」


からかうように笑うレムレスに、シェゾは顔を真っ赤にしながら声を上げる


「く…くそぅ…俺もエr…エコロみたくお前ん家に住んでやる…!」


「寝ぼけたこと言わないの」


レムレスはシェゾを軽くあしらうと、新しくコーヒーをカップに淹れる

ふと、シェゾに目をやると、普段の彼らしくなく、喧嘩直後の子供のように拗ねている

はぁ、と溜め息を吐き、レムレスは椅子から離れ、シェゾの頭を撫でてやる


「ゴメンね、ちょっとからかい過ぎたよ」


「……ばーか」


シェゾが軽く悪態を突くと、レムレスはシェゾを椅子からソファーへ誘導し、先に座った彼の隣に座る


「君は妬いているね」


「……わりぃかよ」


「エコロは大事な親友ではあるけど、僕が一番好きなのは、君だよ」


「よく抵抗なく言えるよな…んなこと」


「シェゾは、僕が好きかい?」


好きだと言われて嫌いと言えるワケがない。シェゾはそう思ったが、なかなか口に出せなかった

レムレスは何も言わずにシェゾに寄り添う

シェゾはようやく口を開く


「…嫌いなら一緒にいねぇよ」


「素直じゃないね」


「るせぇ…喰うぞ…」


「甘くないねぇ…」


会話こそ互いにぎこちなさがあるが、一緒にいるだけで幸せなことに変わりはない


「…レムレス」


「…何?」


「……やっぱりなんでもねぇ」


「変なシェゾだね」


顔を見合せ、笑い合い、抱き締め合った

飲みかけのカフェオレに映ったのは、和かな夕闇空

まさに、今の二人のように甘く、優しい空だった





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