05

俺が村に帰ると、拍手喝采で迎えられた。
何だこの、英雄帰還みたいな雰囲気。

「さっすが澪だベー!」

「これで、与吉も報われるだ」

「んだべな。今夜は、みなで、熊鍋さするだ!」

どうやら、今夜はこの熊を使った熊鍋らしい。美味そうだ。
というか、俺がいない間に俺の事が知れ渡ってる。
さすが、村。情報の伝達が早い。

「てゆーかさ、この熊、どうすんの?」

「そこは、おら達女衆の仕事だべ!」

他の村人を掻き分けて出て来たのは、八重だった。
「集会場まで運んでけろ」と言われたので、
案内をしてもらいながら俺は熊を運んだ。

「助かっただー
 こんなにでっかい熊なら、みんなで食っても余るべ」

「八重ちゃん、干し肉にしておけば持つだよ」

「んだ。咲さんの言う通りだベな」

やや年配の女性―咲が、八重にアドバイスをしていた。
俺は、特にやる事もないので、そのまま立ち去った。

家に入って一息ついていると、見覚えのある男が現れた。

「ハロー?元気にしてるか梨央ー」

「あ、いやに軽い自称神様」

「ぐっ、痛い所突きやがって……!
 あのさ、フュージョンの事について説明し忘れた」

だろうと思った。
フュージョンしても疲れなかったし。

「フュージョンは、一日につき5回までだ
 それ以上やると、精神崩壊を引き起こす危険性がある」

「SPがない代わりに、回数制限があるっていうわけか」

「そゆ事
 あと、お前自身の記憶についてだけど……」

と言って、言葉を切った。
勿体振るのか。そこで。

「復元してはいるんだがな
 どうにも家族や学校に関する事―簡単に言えば、
 身の回りの事の記憶が何故か復元出来ないんだ」

「すまない」と謝られた。
しかし、責める気はない。

「いいって。生きるのに困んないんなら」

「ウr、澪……!」

「今ウルって言おうとしたな。感動できないじゃん」

何だこいつ。
今確実に見た目だけで言葉言おうとしただろ。

「あ、そ、そろそろ時間だ
 ちなみに、武器は倒した数によって勝手に変わるから
 それじゃ!」

慌てながらも自称神様は消えた。
何なんだ。本当。
俺は、ソウルエナジーの事を思い出した。

「(熊倒したから、ソウルエナジー貯まったんじゃ?)」

といっても、上げ方が分からない。
悩んでいると、例の枕元の紙の内容が代わっている事に気が付いた。

「えーっと?
 "ソウルエナジーは平均的に振り分けられるから、気にしないでくれ"」

何だ。簡単だな。
熊鍋が作り終わるまで、まだまだ掛かりそうだった為、俺は寝る事にした。

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