04
鷹吉に言われた森はやけに静かだった。
今は冬。本来ならば冬眠している筈なのに、何故か起きてる熊。
しかもかなり凶暴らしい。
軽いストレッチをした後、俺はラスティファングを装備した。
何だかしっくりくる。
「熊やーい。早く出てこーい」
阿呆らしいと思いながらも叫ぶと、
重い足音がこっちに近づいて来ているのに気付いた。
もしやと思い、その方向を向くと、やはり熊がいた。
しかもデカイ。2mは優に越えている。
<グオオォォォッ!>
「デカ……!」
あまりの大きさに驚いていると、熊は鋭い爪を振り下ろしてきた。
俺は寸前でそれを避けるが、追撃の様に反対側の爪を振り下ろしてくる。
仕方なしに、俺はクローで受け止めた。
衝撃が、腕にも伝わってくる。どれだけ力が強いんだ……!
一瞬だけ止まった熊に、すかさず攻撃をいれる。
1のウルのモーションを思い出しながら。
頭の中で、ジャッジメントリングが回る気がした。
俺は、なるべく赤に近いエリアで針を止める……なんて考えながら熊に攻撃。
最後の踵落しが決まり、熊がややよろけるが、あまりダメージはないみたいだ。
「アンタを倒したら、レベルとSPかなり上がりそう」
冗談半分でそういうと、熊は振り払う様に丸太の様な腕を振り回してきた。
しゃがんで避け、足元に蹴りを食らわす。
熊はぐらついて倒れそうになるが、体勢を立て直して再び直立状態に戻る。
この熊、どれだけ凄いんだ。
村人が近付かないのも分かる気がする。
俺は、試しにフュージョンをしてみる事に決めた。
こんな状態が続いてたら、体力的に俺が危ない。
「(猛虎……!)」
猛々しい虎の悪魔をイメージする。
すると、眩しい光が俺を包み込み、体が変化していくのが感じ取れた。
光が収まり目を開くと、あのフュージョンモンスターと同じ毛皮が、
俺の皮膚になっていた。体がやや軽くなった気がする。
<<グオオォォォッ!>>
再び熊が雄叫びをあげる。
びりびりと空気が震えるが、ビビっている訳には行かない。
俺は駆け出した。
軽く跳んだだけで、1m位跳ね上がる。
その勢いのまま、長く鋭くなった爪で熊に攻撃をする。
<<グァオオォォオオ!!>>
爪は見事に熊を刔り、深い爪痕を残した。
凄まじい悲鳴が響く。
俺は、そのまま熊の首を引っ掻く。かなりの出血と共に、熊は倒れた。
「か、勝った?」
熊は動かない。
俺は、フュージョンを解き、熊を担いで村に帰った。
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