02

気が付くと、雪の中にいた。
正確には、雪の上に倒れてたんだが。
周りを見渡すと、2のウルの初期武器であるラスティファングが置いてあった。
用意周到だな。

立ち上がって見ると、冷たい空気が顔に当たる。
2のウルの服って胸元開いてるから、余計寒い。

「1なら、もう少しマシだったかもな……」

一言喋るのでも辛い。
どこか家ないかなと思いながら、歩き出した。


暫く歩いていると、農村らしき物が視界に入った。
暖かそうな雰囲気が、少し離れたこの位置からでも感じられた。
俺は、残りの体力を振り絞って、農村に向かって駆け出した。
正直、寒い。

村の中に入ると、奇異の目が俺に集中した。
まぁ、格好違いすぎるしな。
とか考えてると、一人の農民が怯えながら俺に話し掛けてきた。

「おめさん、見かけねぇ顔だべな……」

「あのさぁ、どっか暖まれそうな場所知らない?」

笑いながら言うと、農民の男はキョトンとした。
そして、俺に敵意がないと分かったのか、
笑顔で「オラん家でよければ来るだか?」と言われた。
俺の答えは、イエスしかなかった。


男(喜作と言うらしい)の家に上がらせてもらうと、
家の中には、喜作よりやや若い女と5歳位の少年がいた。

「オラの嫁の八重と、息子の矢作だべ」

「アンタぁ、その色男はどちらさんだべか?」

「澪っつーらしいべ
 こんな寒い中、この格好じゃ凍えちまうんで、連れて来たんだべ」

と、喜作は、俺の代わりに事情を説明してくれた。
すると、八重は俺の方を向いてにこやかに「色男なら大歓迎だべ」と言った。

「白湯しかねぇけど、我慢してくんろ」

「いやいや、貰えるだけで充分」

冷ましながらゆっくり飲むと、体の芯から温まる感じがした。
一息着いてると、服を引っ張られた。

「兄ちゃん、どこからきただ?」

喜作の息子、矢作だった。
一番困る質問だな。それは。

「兄ちゃんはな、昔の記憶が曖昧なんだ
 だから、何処から来たーなんてのも知らないって訳だ」

「おめさん、辛かったべな」

優しい声色で、喜作は言った。八重も、同じ様な顔をしていた。
優しいな、この人達。

「湿っぽい話はやめ!
 俺さ、この村に住みたいんだけど、どうすりゃいいかな」

半ば強制的に話題を変更すると、俺はそう切り出した。
実際住む所がないのも事実だし、何より、この温かい感じのする村にいたかった。
喜作と八重は顔を見合わせて、
「あそこ空いてるベ」や「んだべな」なんて会話をしていた。

「ちょうど空き家があんだべよ」

と喜作は言った後、「この家の向かいの家だべ」と、引き戸の方を指差した。
そういえば、この家の向かいに確かに家が一軒あった。

「あそこ空き家だったのか……」

「最近まで使われてただ。まだ使えるベ」

俺は礼を言って立ち上がった。
そうしたら、八重が「ちょっと待ってくんろ」と言ったので待っていると、
碗と何日かは持ちそうな米と麦を渡してきた。

「喜作の田んぼさ、今年豊作だったんだべ。持ってくだ」

「いいの?」

そう聞くと、「たまに矢作と遊んでくんろ」と笑いながら返された。
……いい人過ぎる。
俺は再び礼を言って、喜作の家を出た。

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