お茶会


相互記念小説となります
お持ち帰りは風兎様のみ、お願いいたします。

今回は相互ありがとうございました!



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「わぁぁぁ!!」

初めてのお茶会に誘われた輝は、メインであるはずのお茶を飲むよりも先に、あかとの持っているドレスが見たいと言った。
あかとを知っている人は「あれはクローゼットと言う名の部屋」とまで言わせるとても大きなクローゼットがある。そこに案内した途端、大きな目がポロンと落ちてきそうなくらい目を見開き、手を合わせて喜んだのだ。

「凄い凄い!これ全部あかとさんのですか!?」

さすがに純粋無垢ないたいけな少女に、まさか盗ってきたモノもある、なんて言えないから多少の見栄をはって笑った。

「せや、そんなんやったら1回着てみたらええやん、好きなの選び」
「ほわぁ!?いいいいいいんですか!?」
「かまへんかまへん、それになぁドレスは着てこそ輝くものや、着ーひんかったらドレスがかわいそうや」
「ううっこんなにあると迷います…!」
「せやなぁ…」

カラカラと車いすを進め、わかり易く色別に分けられたドレスを見る。そのあとをぴょこぴょこ飛ぶようにして輝がついていく。

――まるでペットみたいやなぁ

内心思ったことを顔に出さないのは得意なあかとは、心で小さく笑い、ピンクのドレスが並ぶ所に来た。

「んーー輝ちゃんはこれなんか似合うんとちゃう?」

あかとが引っ張ってきたのは、ピンクとブラックのAラインのドレスだ。上半身のビージングがゴージャスな感じで、胸元と腰の脇にある大きなリボンがあっても大人っぽい。スカートフリルもただ甘いだけではなく、ブラックが入ることでシックな感じにまとまっている。

「わぁぁ!素敵ー!」
「あとは…これとかどーやろ」

ポイッと投げるように渡されたドレスを慌てて受け取る。素人目で見てもわかる上品さと高級感、それは見るだじゃなくて触ってもわかった。いいものを使ってるなんてレベルじゃない、どうやったらこんな素敵な物が出来上がるのか不思議に思うくらいだ。

「うーん…あと何が似合うんやろ、可愛い感じも似合うやろうし、ちょっと大人っぽいのもええかもしれん… 」

カチャカチャと出しては戻して、戻しては出してを繰り返す。どのドレスも手のこんだものだと、そして上品で何よりも美しい、一つ作るのにどれくらいかかるのか見当も付かない。

「あの、」
「ああでも、ちょっと肌の見えるやつもええかもなぁ、でも輝ちゃん元気いっぱいやしいつもとのギャップ見せる感じでクラシックなのも」
「あのっ!」

話しかけたのに、自分の世界に行ってしまったあかとを呼び戻すように、少し大きな声をだす。

「あっ堪忍、まぁた周り見えんようになってたわ…」
「だいっじょーぶです!ええっと、これ着てもいいですか…?」

おずおずと控えめに出したのは、一番最初にだしたドレスだ。
たしかに、どのドレスも高級で上品で高貴なものだと思う。だけど、これがいいのだ、輝は自分の直感に従い、ドレスを選んだ。

「ええよぉ、それやったらあれやな、早う着替えてお茶にしましょ♪輝ちゃんの事やしきっと、いや、絶対似合うわぁ」

とニコニコ楽しそうに言うものだから、なんだかキョトンとしてしまった。
それからあれよあれよと着替えられ、普段下ろしている髪も編み込みやらなにやら、カチューシャもシンプルなものだったのに、大きな花がついたものになった。
軽いメイクも施され、改めて自分の姿を見た輝は「わぁぁ…!」と感嘆の声をあげた。

「すごい…」
「かわええなぁ輝ちゃん」

満足そうに手を合わせているあかとはこれ以上にないくらい幸せだった。
自分はここに来るまで本当に一人ぼっちだった、家族もいなしい兄弟も姉妹もいない。今でこそ家族と呼べるカタチができたが、こんなふうに一気に距離を縮めてきて、手放しに喜んでくれる相手がいるというのは想像以上に嬉しかった。
(妹って、こんな感じなんやろか)
出会ってから時間はそんなに経っていない、むしろ早過ぎるくらいに自宅に招いた、そしてコレクションになりつつあるお気に入りのドレスを着せて、メイクまでして…

「楽しい、なぁ」

自然とこぼれた言葉に、輝は大きな瞳であかとを捉えて笑った。

「楽しいですね!」

その顔はキラキラしていて、なんと美しいものだと思った。
擬人だなんだと考えるのがめんどくさくなるほど輝という少女は普通で前向きで明るくて、愛しい存在だとあかとは確信したのだった。

それから、そのドレスを着て、当初の目的であったお茶会をようやく始めた。
そのドレスのモチーフ、好きな異性のタイプ、結婚しているあかとの惚気、好きなお菓子おやつ、一度やってみたいこと…話しているだけで、真上にあった太陽はもう沈みそうだ。

「もうこんな時間やね」
「あっという間でしたねー!楽しかったです!」
「それは良かったわぁ輝ちゃんみたいな可愛ええ子と話せ私も幸せやったで。おおきに。」
「いえいえ!!それは、私のセリフです!」
「ふふ、楽しいっちゅうのは素直な気持ちや、大事にするんやで」
「?はぁーい!」

難しい言葉をあかとはよく使うな、なんて思って今日のお茶会は終了となった。

帰り際に、ケーキをもらった。どう見たって高そうなケーキをたくさん、申し訳ない気持ちが出てくるが、おいしいものは美味しい、自分は普通の女の子、そう思って輝は受け取った。
家に着き、悪くならないようにと箱からケーキを取り出して、そこを見るとひとつの封筒があった。なんだろうと思い、ペーパーナイフで丁寧に封を切る。
取り出して、輝は笑ってしまった。
そして自分より年上で、難し言葉をたくさんしっていて、熱くなると周りが見えなくなる友達を思った。

ーーこんな事しなくても、いつでも会いに行きますよ。


手紙には「親愛なる友人へ、次のお茶会はあなたの望んだ日、いつまでも楽しみにしているわ。」と書かれてあった。


「次あった時には、クッキーでも持ってこうかな! 」


楽しい日々は、まだ続きそうだ。




-End-




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