3
「うぉ、珍しいな全員いやがる」
「ほんまやなぁ」
バッ!と全員が入口のエレベーターの方を見ると頭2人が帰ってきてた。
おかえりなさい、全員がおなじタイミングで声を出す。統率が取れていうか、親しまれているというか。
「なんやええ匂いするけど、何な作っとるん?」
「あ、今スコーン焼いてたんですよ。あと少しでできますよ!」
苦手な光と戦いながら涙目で月詠が答え、くろもはせっせと洗い物を手伝う。
主たちの帰還にヴェネヌは珈琲を入れて、くくるは車椅子のためのスペースを開けて、そこにフェンネルがあかとを。
「そういや、お頭達はどこまで行ってきたんスか?」
「なぁに、次のターゲットの自宅までだよ」
「あっ!次エーちゃん行きたい!です!」
「そろそろ本物のJewelryを見たいデス…」
「お、俺は次もアジトで待機で…」
「おいおいビスコ〜外に出ないとまじでカビ生えてくるぞ」
「ヒヒッそしたら、オイラにそのカビが生エたメカニズムを調べサセてネ」
「次はパーティとか開かねぇかなあ、俺の女装もただの趣味になりそうだ」
「もう趣味だろ、俺より女っぽいぞ」
「ほんなら開くように言うてみるわ」
「さっすがあかと様…」
「おーい!スコーンジャムで食べる?それとも生クリーム?」
「あっ!生クリームのあまりあったと思うのでまだ作らないでください!」
それぞれが喋りたいように喋って、混沌とした空間だけど、1人一人暖かい雰囲気で、一つの家族としてなりたっている。そんな雰囲気。
午後3時18分、出来立てのスコーンの香りがアーテルを優しく包む。
今日も彼らは、悪巧みを、しあわせそうに語るのであった。
end
← →
back