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ここは「
アーテル」の日常を描いたものです
参加者のお2方、お借りしました
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森の奥の奥、さらに奥、人間もポケモンも擬人も近寄らないような深い森の広い場所、そこに馴染んでいるのはログハウス。
そこに「アーテル」は存在していた。
「ええ天気やなあ」
「そーだなぁ、木々も喜んでやがる」
車椅子を押され、穏やかな表情でログハウスから出てきたのは頭の2人、フェンネルとあかとだ。あかとはつい先日フェンネルがプレゼントしたばかりのドレスを身にまとってる。
「ふふっ、今日はどこにも行かないんどすか?」
「おう、かわいい嫁さんといちゃいちゃしようと思ってよ」
「まあ、可愛ええ嫁さんってだれどす?」
「鏡でも持ってきてやっか?」
終始幸せそうな雰囲気のまま、散歩らしく目的も決めずどこかへ向かう。笑い声はいつまでも聞こえてきそうだ。
ログハウスの中へ行けば、そこはごくごく普通のへや。本棚とベッドとテーブルしかないが生活感のあるありきたりな部屋。
でも、秘密基地はそんな程度じゃ終わらない。
本棚は実は本棚に見える扉、決められたコードを入力するとその扉は開き、まるでエレベーターのように下へ上へと向かうスグレモノ。
そのエレベーターは目的地へ付くと自動で開く仕組みだ、そこには地下とは思えないほど快適で充実した場所が広がっていた。
15人のメンバー全員がひと部屋ずつ与えられており、その他にダイニングキッチン、リビング、古書室、書斎、倉庫、研究室、そしてさらに下にはこれまで盗んできたものが詰まってある。
エレベーターから降りると、すぐ木製の大きな長方形のテーブル。どうやらここはリビングのようだ。
「ちょっとドルチェちゃん!!このアイシャドウ私が欲しがってた数量限定の奴じゃない!」
「人のメイク道具勝手に覗くなよ!つかこれそんないいやつなの?この前入った屋敷のドレッサーにあったから持ってきちゃった」
「宝の持ち腐れね、私に頂戴」
「やーだよ!バーカバーカ!!」
「えっと…その…帰っても、いいですか…」
そのテーブルに集まっていたのは3人、アーテルの頭脳、参謀役のくくる、ドルチェ、アヌビスだ。これから出かけるドルチェはなぜか女装の準備をしながらだ。お気に入りのメイクバックまでしっかり持ってきてある。
いっぽう、普段ひきこもりであるアヌビスは早く自室に戻りたくて仕方が無い。むしろ気化したいと願い出す。
「んもぅ!ダメよ〜フェンネル様が次の作戦練っとけって言ってたじゃない」
「いーじゃん、次も特攻に暴れさせてそのあいだ盗めばさ」
「そ、それだと足がつくから、いつもと違うやつを、って…」
「ビスコちゃんって意外と人の話ちゃんと聞いてるわよね」
「ひょ!!??」
「わ、おもしれー!なあもう1回!」
「ちょっとドルチェちゃん!」
くくる特製ドリンクを片手に3人はなんだかんだ楽しそうに話に花を咲かせる。
するとキッチンに2人の影、どこかで騒いできたのか汗をかいている。グイィッと特製ドリンクを飲み干す。
「っはーー!やっぱ運動のあとはくくる姉さんのだな!!」
「キシシッ、約束通り次のヤマはお前先陣切れよ?」
「人が鍛錬のあとの楽しみを味わってる時によくまあそう水を指すなぁ…ライトさんよぉ」
と、いいつつもくろもの顔はどこか楽しそうだ。血の気の多い特攻の2人、くろもとライトは今度は冷蔵庫からアイスと鉱石を取り出す。よくわからないが、冷やした鉱石もまた美味らしい。
「ふぁああ…オハヨ、オイラにもソレちょーダイ」
大きなゴーグルを首から下げて、眠そうな目をこすりながら自称マッドサイエンティスト、砂月が現れた。
「まぁーたガレージに引きこもりかよ、お前はビスコか」
「んン〜似タヨウなもンじゃナイ?」
「あとキャンディー控えろって俺もライトもくくる姉さんも言ってたろ!」
「君ラは相変ワラずと言ウか…オイラの母親ナの?」
寝不足気味か、やや不機嫌な様子を隠すことなく砂月はドリンクを飲み干し冷蔵庫の中を漁る。
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