砂月とクロウリー
賢いふたりの話
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「ダカラァ!オイラはそうじゃナイッテ何回言ッタら伝わるノ!?」
「伝わりませんー!バァァアカ!まず君の発明は派手なだけで中身がまるでないネェ!脳みそスッカラカンかなー!?」
「ハァァア!?それはアンタデショ!?毎回毎回キモい実験バッカリしヤガって!発明家のくせに出来上がった人間頼ってんじゃネーヨ!」
「か・が・く・しゃ!その貧相なオツムに書き込んでろ!」
わーわー地下の実験室から響く声、白衣を纏った長身の男性に噛み付く砂月、ジト目の背の低い子供にとってかかるクロウリー。
ふたりは今、お互いの発明やら実験に文句をつけあってはや2時間。よくもまぁ飽きないものだなと付き添いできたアレイスターは静かに眺めていた。
「だいたい、人間ヲ使ってナンてオイラの美学に反すル!アレはあまりにも脆弱ダ!僕の実験に耐えれるワケがなイ!」
「君の持論に私を巻き込むな!それなら耐えれるようにしていけばいい話でショ、脆弱でひ弱で守る価値もなさそうな人間なんて、このクロウリー様の実験台になるのがお似合いなのヨ」
話を聞けば聞くほど、科学者というのは発明家というのはずいぶん身勝手な生き物だと痛感する。
彼らの中にあるのは「満たされたい」という純粋ゆえに凶悪な感情。知的好奇心はいったい 何を殺すのだろう。
「それハ時間も金モかかる、無駄ナ時間が生まれてシマウ」
「過程を楽しむ君らしく無い発言だねぇ」
「…人間は喋ルだろウ?」
「それがどうした?」
小さく舌打ちをした砂月は目をそらしながら語り出す。
「アイツら弱ッチイ癖に生きようトスルしぶとさハ見上げるモノがある。だカラ嫌ナンダ」
「話が読めない、つまりなんなの」
「…実験する前にコロスだろ?ソノ時の悲鳴がサァ…」
「あ?それが嫌とは言わせないよ?」
「残念。逆ダヨ、好キだかラ困るんダ」
疑問符を浮かべながらクロウリーはずれたメガネを直す、そして少し困ったようにアレイスターを見ると彼女は涙を拭うことなく淡々と小さな口を動かす。
「つまり、砂月様は人間の悲鳴、または死体で性的興奮を覚えるから嫌なのではないでしょうか」
がたーーん、後ろにふたりがぶっ倒れた。
「はぁ!?き、きき君ついにネクロフィリアにでもなったのか!?」
「勘違イしないデ!オイラはオキュロフィリアでスコプトフィリアなんダ!」
「よしわかった!近寄んな!!!!!」
はて、何を間違えたのか。そんなふうに首をかしげるアレイスターは可愛らしいのだが、砂月とクロウリーはさらに盛り上がる。
「別にイイじゃナい!眼球が好きデ!覗くコトガ好きデも!」
「それに興奮する意味が分からない!ならまだ実験してる方が興奮する!!」
「あのグロテスクな実験デ興奮するホウガよっぽど狂ッテる!クロウリーサンこそアクロトモフィリアじゃないノかイ!?それかヘマトフィリア!!!」
「それ以上しゃべると君で実験するからな!?」
ついに机やガラス瓶、その周りのものを投げ出すハメに。
天才はどこかが抜けている、多分このふたりの場合は良心と理解心を産まれた時に捨ててしまったのだろう。
「あの…」
ふと、小さな声がふたりを止めた。
ようやくこのクソみたいな会話に終止符を打てると、なんだかんだふたりは胸をなでた。
「博士はそんなに手足は切りませんし、体液や血液を撒き散らしたりしません。ゆえに、それらで性的興奮をしている訳ではありません」
本日2度目、バタンと大きくふたりは倒れた。
「むしろ普通に女性の」
「帰るぞアシュリー!!!!!」
首根っこをつかまれズルズルとまた「何を間違えたのか?」と不思議そうな顔をしてアレイスターはなされるままだった。
「話の続きはまた今度!首洗って待ってろクソチビ!」
「メガネの度ヲ直しテカらダよクソジジイ!」
静かになった部屋で散らかったものをしぶしぶ片付ける。
「人間なンカニ手を出シタら、楽しすギテ組織を裏切リそうダカラ、なんテ言エナいよねェ」
END
(´-`).。oO(意味わからなすぎて拍手)
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