君と見た世界に






※RZ1・ネタバレ





粉砕された箇所は己の機体の大部分を占める。もう動けないことを、忙しく弾ける火花やだらしなく垂れ出されたコード等を見ながら、ぼんやりと負けたことを考えていた。赤い伝説…いやイレギュラーは強かった。僕は自分の信じる正義と世界の為に全てを捧げて戦った。思い出せるのは赤い残像と碧色の軌跡。究極と呼ばれる鎧と六枚の羽根の二つは砕かれて僕は地に落ちた。赤い奴は僕を冷たい、でも少しだけ憐れみのこもった目で一瞥すると地を蹴って僕を離れて行った。




小さくなっていくイレギュラーの背を砕かれていない片目で見ていると、崩れ始めるネオアルカディアの建造物。鉄の塊が機体の何処かに当たって凹んだようだが気に止めない。とっくにボディの痛覚機能は壊れていて、何も感じることはない。ただ一つ残念だと思うことは…英雄の僕が一人壊れてゆくことだ。死を覚悟して、目を瞑ると瞼の裏に名前1が流れる。僕の理想を理解してくれて付いてきてくれた名前1のことを僕は好きだった。無になってゆく自分とは反面、四天王に彼女の保護を任せておいたから安否は無事であろう。本心を直接口にしたことはないが、彼女もまた僕のことを好きで居てくれただろうか。





まもなく消えるであろう意識の中で一生を思い返してみても薄幸なことなんてなかった。名前1が側で世界を見てくれたからだろう。…あぁ、視界が霞んでゆく。




君と見た世界にさよな



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