「美しく!?バカ言わないでよ!私は吸血鬼になんてなりたくなんて無かったわ…!
全部あんたのせいでしょ!?」

ヒステリックに私は叫んだ
もう、止める事など出来なかった
「私はあんたのせいで人間を捨てざるをえなかった……
家だって、家族だって、友達だって捨てた……!

私は…好きでこんな身体になったんじゃない…!!」

感情の赴くまま、叫ぶ
叫ばなければ、心が壊れそうだったのだ

未知なる体験に未知なる恐怖
化け物になったという事実が、いつまでも私を苦しめる

「吸血鬼になるくらいなら、あの時殺された方がマシだった!
全部あんたのせいなんだから」

ただただ、苛立ちだけが募る

「我のせい、だと?我は娘、お主が死にたくないと願ったから、仲間にしたのだ

なぜそれが我のせいになる
これはお主が望んだことなのだろう」

男も立ち止まった
2人は向かい合い、互いの心をさらけ出す


「……死は、確かに怖かった
でも吸血鬼になるくらいなら、私は死を選んだわ…!」

目の前の男をキッと睨み付けるが、男は気にした風もなく飄々としている

「ほお、死を選ぶと?死に怯えていた昨日のお主はどこへ行ったのか」
男の言葉に夏希は激怒した
口から知らぬ間に怒りの咆哮が飛び出す
ビリビリと森が震え、辺りに殺伐とした空気が流れる

が、男は気にしていなかった

「くくく、立派な吸血鬼になったではないか
その咆哮、最高だ」

「ッ!」

怒りに我を忘れた夏希は、あいつを引き裂きたいという思いのまま飛びかかる

が、目の前の男はひらりと攻撃を避け笑う

「くくく、攻撃的だったとは意外だな……まぁ吸血鬼になった時点で関係無いか」

「黙れッ!」

美しくなった顔を怒りに染め、怒鳴る

「元凶はお前だろうが!私の人生をぶち壊しやがって……!」

「…………」

「何とか言ったらどうだ!?」

叫ぶ夏希を男は冷めた瞳で見つめる

「少し静かに出来ないのか?
全く……」

震える身体を何とか理性で押し留め、冷静になれと深呼吸をする

「くくく、良い子だ」

優しくそう話す男を夏希はポカンと見つめる




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