「よし、修行すっか」


ジンのかるーい一言で修行が始まった

内容はカイトと一緒に樹海の中にあるジンの物を探してくる事



「ちゃんとオーラ纏ってっから大丈夫だろ!ハルカも念を会得したんなら足手まといにはなんねぇ筈だしな」


大雑把なジンの言葉に私とカイトは溜め息をつく


でも、


「……宝探しみたいで面白そうかも」



「ハルカはノリノリだな
カイトもハルカと一緒に行けよ

男なんだから守ってやれよ!」



バシバシとカイトの背中を叩くジン

言われたカイトは適当に返事をしてハルカを振り返った



「はいはい
じゃハルカ、行くか」



「うんっ!」


元気よく返事をしたハルカはカイトと共に樹海に入っていった


ガサガサと枝をかき分け進むハルカ4カイト
今はカイトが大雑把な方角に進んでくれている

勿論私も気配は探ってるよ!



「――ねえカイト、カイトはヤヨイって人の事知ってるんだよね?
どんな人だった……?」



ガサガサと枝をかき分けながら尋ねるハルカ

何かを感じたのかカイトはマジメに答えてくれた


「んー、一言で言えば最強か?」

あの人はマジで何でも有りだったからなあ……昔を思い出しているのか懐かしそうに話すカイト


「最強?強かったの?」


「ああ強かった

あとはテンション高くて明るくて優しかったな
なんか不思議に警戒心もとけるし、安心出来る人だったな」



「そう………」


なんか有り得る、この内容
お母さん、明るくてテンション高いし、優しいし……

はぁ、やっぱり父親はジンなのかなー?なんか複雑……だって生まれ育った世界じゃマンガだったんだからさ……その世界の人物が父親なんてマジであり得ない

ま、現に私はそのマンガ世界に来てるんだけどねー
いや笑えないわ、これは



「ぃ……お……い!おいっ!」



「ほへッ!?」



頭の中の考えに夢中だったハルカは突然聞こえた大声に肩をビクンと震わせ奇声を発した



「ちょ、本気でびっくりしたんだけど!」



「悪い!だが周り、見てみろよ」






空笑いをしながらカイトが言うのでハルカはキョロキョロと辺りを見回し、固まった



「…………」



「――気づかなかった」



悪い……と眉を下げながらカイトが言うもんだからハルカも怒れなくて頷いた


なぜ2人がこんな会話をしているかというと目の前に目をギラギラさせ、口から涎をダラダラと垂らしている狼がいるからだ

しかもそれらが一匹ではなく山のようにいるから大変だ




「どうする?戦う?」



敵をジッと見つめながらカイトに問いかけるハルカは先程とは違い、強烈なオーラを放っている



「…問題は戦って勝てるか、だな……数は向こうが圧倒的に多いし」



冷や汗を垂らしながら呟くカイトなんとなくそれを感じ取ったハルカは笑った


「あははっカイトにも緊張とか恐怖ってあるんだねっ!

いっつもムッスーてしてるか呆れてるかしか見ないから」



ハルカの言葉にカイトは呆れながら答えた



「それはお前らがオレにそんな顔しかさせないからだろうが」




「そんな事ないしッ!あ、でも私を拾ってくれた時は心配そうな顔もしてたっ」


思い出せて良かったー、と言うハルカにカイトは深い溜め息をつき言った



「……ハルカ、奥の奴オーラを纏ってる」



そう、カイトの言うとおり奥にいる一段と大きい見るからにボス的な狼はオーラを纏っているのだ


「……本当だ………
ならあのボスを従えれば良いんじゃない?

だって強いものが上に立つ世界でしょ?」



狼のボスを見つめながらカイトに話すハルカの瞳はこの状況に興奮しているのか輝いている


それを感じ取ったのかカイトはハルカに言った



「ならハルカがやれ
これも修行の一環だ」



そう言うとカイトは後方の木に飛び乗り絶をして気配を消してしまった

それをキョトンと見つめていたハルカは数秒後叫んだ



「―――――はぁッ!?」



叫ぶハルカの姿を面白そうに見るカイトは笑顔だ



「本気!?だってさっき念を身に付けたばっかなのに……」



無理だってば!と叫ぶハルカだがカイトは無視
狼達はカイトが絶をしたせいでハルカしか分からなくなっていた



「くっ覚えてろよー!」


ハルカはそう叫ぶと目の前の狼たちと対峙するのだった



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