「今日やっと修理が終わって帰りに受け取りに行ったんだ。そしたら皆川さんからのメールと着信があったから急いで電話したんだけど繋がらなくて」
「あ、ごめん充電切れてた」
「うん。そうかと思って、ここで待ち伏せしてた。急にごめんね、でもどうしても今日話したくて」
なんだ。そうだったのか。やはり天ヶ崎くんが突然連絡を無視するなんてこと、あるはずがなかったのだ。
そっか。そっか。なんだ。
「よかった……」
息を吐いて安堵した。よかった。天ヶ崎くんに嫌われたわけじゃなかった。彼の身に悪いことがあったわけじゃなかった。また会えた。また会えた。
私を見下ろす彼がぎょ、と身構えたのが分かった。私の両目からするすると透明な液体が流れ出したからだ。
「ごごご、ごめんね。おれ、あの、」
慌てふためく天ヶ崎くんのスーツの袖口に手を伸ばして強く掴んだ。一瞬、体を固くしたが彼はすぐに落ち着いたらしかった。無言ではらはらと頬を濡らし続ける私を見つめる。
私に袖を掴まれていない方の手を挙げて髪を撫でてくれた。
「小瓶に溜めなくていいの?」
静かな声色で彼が訊く。
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