時折、なんとも言い様のない不安に駆られ、眠れない時がある。
何時間経っても睡魔はやってこず、不安だけが募り、ボロボロと溢れる涙で枕はぐっしょりと濡れていた。
このまま眠れなかったらどうしよう、外が明るくなってきたら、朝がきてしまったら、きっと明日は目が腫れてしまう。そんな目でみんなに会ったら心配をかけてしまう。
そうは思っても涙は止まらず、私のこの訳の分からない不安な気持ちは募るばかりだった。

そんな時、スと障子の開く音がし私はビクリと身体を震わせた。
どうしよう、誰かが入ってきた。泣き声が部屋の外まで漏れていたのだろうか。涙を、嗚咽を止めなければ。
そう焦れば焦るほど涙も嗚咽も酷くなり、そうして呼吸の仕方を忘れ始めた頃、布団を捲り上げられ肩を引かれた私はじわりと侵入者、もとい大倶利伽羅と目が合った。
大倶利伽羅は私のこんな姿に動じることもなく、するりと布団に潜り込み私の背中をあやすようにポンポンと叩く。

「大丈夫だ。」

泣き続ける私に大丈夫、と繰り返し「大きく深呼吸をしろ。もう一回。」と促した。言われるがまま繰り返していると、息苦しさは大分落ち着いていった。

「そのまま続けろ。そう、上手だ。」

そうする内に、今まで全くと言っていいほど感じなかった睡魔が一気に瞼を重くし、私はうつらうつらとし始めた。

気付いた頃には夜はもうすっかり明けており、遠くの方で数名の会話や足音が小さく聞こえる。
私の瞼は熱く、重く、隣に大倶利伽羅はいなかった。

のそりと起き上がり腫れた瞼を両手でぐ、と抑える。そうして、昨夜のことを思い出す。
「お礼を、言いに行こう。」この腫れ上がった目を冷やし、いつもと変わらぬ姿で。
泣いた理由が分からないだけに気まずくはあるけれど、彼はきっと「なんのことだ。」と素知らぬふりをするだろう。



大倶利伽羅と不安に溺れる審神者
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