「ピッ……!」

朝、目ぇが覚めたら目の前に名前ちゃんの寝顔があった。
思わず漏れそうになった叫び声をすんでのところで止め、頭の中でぐるぐると今の状況を考える。

そうや。昨日、名前ちゃんが「1人で寝られへんから」って一緒に寝たんや。

目の前の名前ちゃんはすーすーと小さく寝息をたてとる。
ボクゥ、名前ちゃんが寝たのを覚えとらん。ボクゥの方が先に寝てしもたんやろか。名前ちゃん、大丈夫やったんやろか。

名前ちゃんの寝顔を見ながら悶々と考えていると、目の前の瞼がうっすらと開いた。

「おはよ、翔くん。」
「お、おは、よ。」
「よぉ眠れた?」
「…おん。」
「よかった。」
「……あの、な」
「うん?」
「昨日、多分ボクゥの方が先に寝てしもうたやろ?その、ごめんな。」
「え?」
「名前ちゃん、恐いからってボクゥのとこ来たんに…、ボクゥが先に寝たら意味ないやん。」
「……そっか。ふふっ大丈夫、翔くんが横におってくれただけでよぉ眠れたよ。」

そう言って、名前ちゃんはふんわり笑いながらボクゥの寝癖のついた頭を撫でてくれた。

「じゃぁ、起きようか。翔くん、自転車乗るんやろ?」
「おん。」

ロードに乗るのは毎朝の日課やし、いつもみたいに早う乗りたい気持ちもある。
けど、名前ちゃんとこの距離から離れるのは、なんだか少し、変な感じがした。



(心霊番組、もうやらへんのやろか。)

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