「何しとるん?」
「っ!」

帰宅しドアを開けると、名前ちゃんがボクの服に遠慮がちに顔を寄せているのが目に映った。

「うあっ、あっ、おかえりなさいっ」
「おん。で、何してたん?」
「いや、あ、えっと、洗濯物、たたんで…」
「ふーん。キミは顔近付けて洗濯物たたむんやねぇ。」
「っ!」
「ほんまは、何してたん?」
「…あ、翔くん、の」
「おん。」
「匂いが、ちょっとしたから…」
「ふーん。ボクゥの匂い嗅いでたん?キモ。」

ボクが「キモい」言うと、名前ちゃんはすぐ泣きそうな顔になる。
そんな名前ちゃんを正面からぐっと抱き寄せ、ボクの腕の中に閉じ込める。

「そんなん、直接嗅げばええのに。」
「あ、えっ」
「そしたら、ボクも嗅げるしなぁ。」

名前ちゃんの首筋に顔を埋め喋ると、ビクリと名前ちゃんの体が跳ねる。くすぐったいんやろなぁ。

「なぁ。ボクがこんな触れさせるの、キミぐらいやで?」

ねっとりと舌を這わせると、震えた手でぎゅぅっとボクに縋ってくる。

「絶対に、逃がさんよ。」



御堂筋と彼女の特権
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