俺から名前を求めることはあっても、名前から求めてくることはほとんど、いや全くといっていいほどない。
恥ずかしがりやというのは分かっているけど、やはり自分ばかり求めているのは少々癪に触る。

「んっ、は」

そんな俺の気持ちが突っ走った結果、名前の飲み物に少しだけ媚薬を垂らした。
半信半疑で買ったものだったけれど、名前のこの上がった息や潤んだ瞳を見れば期待が膨らむ。

「どうした?」
「なん、か、ドキドキする」
「ドキドキ?」
「わか、ないけど、こわいっ」

腕を伸ばし俺に抱きついてきた名前を抱きとめながらほくそ笑む。

「よしよし」
「いっせ」
「ん?」
「……」
「どうした?」
「あの、えっと…」
「うん」
「………キス、したい」

抱きとめた体は小さく震えていて、どうにか言葉にしてくれたのが伝わる。
髪をひと撫ですれば不安げな顔をおずおずと上げ、その瞬間を見計らい唇を塞いだ。

「んうっ」
「ん、ちゅっ」

唇の隙間から舌を挿し込み、名前の舌をねっとりと絡め上げる。
しっかりと時間をかけ堪能し唇を離すと、そこには溶けきった名前の顔。

「満足した?」
「っ、」

普段であればこのまま行為に及ぶけれど、あえて今日はここでストップ。
名前も続きを期待していたようで、一瞬呆けた顔をしすぐに泣き出しそうな顔へと変わった。

「足りない?もう一回する?」
「……っ、」
「ん?」
「あの、」
「うん」
「えっと、」
「キスするの、いやだった?」
「い、いやじゃないけど」
「けど?」
「あのっ、あのっ」
「うん」
「〜〜〜っ、えっち、したい」

消え入りそうなくらい小さな声だったけど、漸く口にしてくれた言葉に我慢できずそのまま床へと押し倒す。

「よくできました」

本当はもっと色んなことを言わせたかったけど、俺自身も限界だし今日はこのくらいで。



言わせたがり松川
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